障害者福祉の世界で働くことになって15年。生活支援員として様々な業務に従事してきましたが、これから私がどれだけ経験を積んだとしても、今回の経験に勝るものはない。そう思わせてくれるほど、彼と過ごした時間は私の介護観に大きな影響を与えてくれました。
誤解のないように断っておきますが、たかさんは今も元気です。私の職場とは別の生活介護事業所を利用していて、私も半年に1回ほど遊びに行きます。会話のような独り言のような言葉を交わしながら、一緒にゆらゆらと体を揺らして過ごす時間が心地良いです。
最初は、自分の心を整理するために書いて、公開はしないつもりでした。でも、日に日に「この物語を読んで、たかさんを好きになってもらいたい」という気持ちが強くなり、公開することに決めました。
施設や病院の名称、登場人物の名前などはフィクションですが、(主人公である「たかさん」も含め)この物語は全て私の実体験です。決して楽しかった思い出話だけではありません。けれど、それらすべてを私の持てるありったけの言葉の中から、最も優しい言葉を選んで綴ろうと心に決めました。
『たかさんと私』は、SNSプラットフォーム「note」で2023年2月から2023年11月まで連載していました。当ブログでは、一部内容を修正しブログ版の『たかさんと私』として掲載します。
私の気持ちを少し書き加えた部分がありますので、note版と読み比べて頂くのも楽しいかもしれません。
noteで『たかさんと私』を連載しようと考えていた時、私は悩んでいました。私一人の気持ちで公開することはできず、そうかといって、たかさんは自分の置かれた状況を判断するのが極めて苦手だったからです。
掲載に当たり、自分の気持ちを伝えることが苦手なたかさんにかわって、背中を押してくれたお母様に熱く御礼申し上げます。
あの時、私の話を聞いてくださって本当にありがとうございます。「書こうと思ったことが何より素晴らしい」と言ってくださった事は忘れません。
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