生活介護事業所の「生涯学習」と「レクリエーション」:「違い」と『強み』

生涯学習とレクリエーションの違い 生涯学習

生活介護事業所では、様々な日中活動が提供されています。生涯学習講座や、レクリエーションもその1つです。どちらもご利用者さんにとって大きなメリットのある活動ですが、その違いについて考えたことはありますか?

  • レクリエーションは何となくわかるけど、生涯学習についてはよくわからない
  • 違いを知ることで何かいいことはあるの?
  • まとめて「日中活動」で良いのでは?

実は、それぞれの特徴を理解することができれば、より効果的に日中活動を提供することができます。この記事では、生活介護事業所で、10年以上生涯学習講座を担当している私が、生涯学習とレクリエーションの違いと『強み』を解説していきます。

この記事は

・日中活動の提供を担当している職員さん

・レクリエーションの強みを知りたい生活支援員さん

・生涯学習の魅力を知りたい生活支援員さん

におすすめです。

何よりも大切なことは

ココをおさえて自分の中に軸を作ろう

この記事では生涯学習とレクリエーションの特徴を説明していきますが、大前提としておさえておいてほしいことがあります。

それは、日中活動の目的は「ご利用者さんに楽しい時間を過ごしてもらうこと」ということです。その上で、生涯学習とレクリエーションの『強み』をチェックしていきましょう。

大切なのは「生涯学習かレクリエーションか」というラベリングではなく、日中活動を考えるための「軸」を作ることです。

それぞれの特徴

私が勤めている生活介護事業所では、生涯学習とレクリエーションに、次のような違いがあります。

生涯学習講座は、「学び」を通じて、教養や新しい技術を獲得することが目的です。また、発見・共感・疑問を大切にし、興味や好奇心を刺激する内容の講座を目指します。

一方、レクリエーションは「交流」を通じて、心身の健康を支えることが目的です。全員で1つの課題をクリアしたり、グループに分かれて実施するなど、参加者同士の関係を深めることを目指します。

また、それぞれの活動に参加することで、ご利用者さんのQOL(生活の質)が向上するというメリットがある部分が共通点と言えます。

ここでのポイントは、レクリエーションでも教養や技術を獲得したり、生涯学習講座でも心身の健康を支えるためのアプローチが可能ということです。提供する日中活動の軸を「学び」にするか「交流」にするか、しっくり来るほうを選んでみてください。

こんな活動に強い

この章では、生涯学習とレクリエーションの『強み』についてご紹介します。それぞれの持ち味を理解することで、ご利用者さんにより楽しんでもらえる日中活動が提案できる可能性が、ぐっと高まります。

生涯学習

テーマを発展させやすい

生涯学習は「学び」が軸なので、ご利用者さんの興味の広がりに応じて、テーマをどんどん広げていくことが可能です。

実際に渡しが担当する講座でも、「年賀状の書き方」というテーマから、「年賀状という習慣はいつから始まったのか」や、「日本以外に年賀状の風習はあるのか」といった内容に広がったり、「お正月にどうして『おめでとう』というのか」という全く別のテーマに広がった事もあります。

ご利用者さんの疑問の数だけテーマが広がる、まさに無限の可能性を秘めた活動です。

講師となる職員の『強み』を活かしやすい

何も難しい話をするだけが生涯学習ではありません。例えば、ギターを弾ける職員が「ギター教室」を実施したり、絵が得意な職員が「絵画の講座」を実施するなど、講師となる職員の『強み』を講座にすることができます。

レクリエーション

シンプルなテーマに強い

レクリエーションは、折り紙やラジオ体操などシンプルなテーマに強いです。生涯学習としても実施は可能ですが、「学び」という視点を取り入れるのは難易度が高いです。

そういう意味で、レクリエーションは「とにかく楽しみたい!」という希望を叶えやすいと言えます。

汎用性が高いテーマを扱える

「映画や音楽鑑賞」「風船バレー」など、ある程度やり方がわかっていれば、職員の熟練度に関係なく実施できます。

ベテラン、新人を問わず、一定のクオリティで提供できるのはレクリエーションの強みと言えるのではないでしょうか。

日中活動の提供に迷ったら

わたしのイチオシ

もし、「どんな日中活動を提供しよう」と迷っている場合は、生涯学習講座をやってみることを強くおすすめします。

理由①継続すれば施設のアピールポイントになる

あくまでも私の見解ですが、生涯学習講座をウリにしている施設は決して多くはありません。つまり、生涯学習講座を継続的に実施することができれば、他の施設にはない特色を打ち出すことが可能ということです。

理由②「プレミアム感」が出る

生涯学習は「学び」を軸とした活動です。つまり、参加するご利用者さんに「自分の人生を学びに使っている」というプレミアム感を味わってもらうことができます。

その他のおすすめポイントについては、こちらの記事をぜひ読んでみてください。

⇒【関連記事】『生活介護事業所の特色を出すなら、「生涯学習講座」が超おすすめです』

まとめ

今回は、生涯学習とレクリエーションというテーマで、それぞれの違いや『強み』についてご紹介しました。

  • 生涯学習は「学び」、レクリエーションは「交流」が軸
  • ご利用者さんのQOLが向上するという点は共通している
  • 迷ったら生涯学習講座がおすすめ

最後にお伝えしたいのは、テンションが高くなることだけが、「楽しい」や「盛り上がる」ではないということです。

感情的な山場はなくても、ご利用者さんが「楽しかった」と思えれば、日中活動として十分に成立します。実際に私の職場でも、クラシック音楽鑑賞会など、静かなレクリエーションを企画することもあります。

それぞれの施設の職員さんやご利用者さんの特徴に合わせた、充実した日中活動を提案するお手伝いになれば嬉しいです。

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