生活介護事業所では、ご利用者さんにさまざまな日中活動が提供されています。その代表的な活動の1つである「ウォーキング」、日課として取り入れている事業所も多いのではないでしょうか。
- 体力づくりとして
- 気分をリフレッシュする手段として
- 健康管理の一環として
など、実施する目的は様々だと思います。ですが、すべてのご利用者さんが前向きに取り組めるとは限りません。
そこで今回は、生活支援員歴15年のなかで、たくさんの「苦手」と向き合ってきた私が、ご利用者さんが苦手に感じてしまう理由と、その対策方法を4つご紹介します。
この記事は、
・ウォーキングを担当している生活支援員さん
・楽しく歩く方法を探している当事者さん
・自分もウォーキングに苦手意識がある職員さん
におすすめです。
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日中活動としてのウォーキングの注意点
まずは、生活介護事業所ならではの、ウォーキングを実施する時の注意点を3つご紹介します。ご利用者さんの特性を知ることは、支援者にとって必要なスキルの1つです。
1、「やめ時」がわからなくなってしまう
ご利用者さんの特性によっては、自分で「やめ時」を作ることが苦手が人がいます。その場合、歩き過ぎによる足や膝への負担が大きくなってしまう恐れがあります。
一見すると「ずっと歩いているから疲れていない」「やめないから楽しいと感じている」と判断されてしまいがちですが、自分の気持に関係なく、その行動を止めることができなくなってしまっている場合があることに注意が必要です。
2、「歩くこと」が強くインプットされすぎてしまう
ASD、特に自閉的傾向の強いご利用者さんにとっては、ウォーキングと他の活動が結びついてしまい、「ウォーキングをしないと次の行動に移ることができない」という状態になってしまうケースが考えられます。
季節や天候に関係なく、ウォーキングの要望が止まらくなってしまうことも考えられるため、ご利用者さんの特性によっては、事前にしっかりと準備を整えてから実施する必要がある場合があります。
3、痛みの感覚を感じにくい場合がある
目に見えない生きづらさの1つに、感覚の過敏や鈍麻があります。感覚に鈍麻があるご利用者さんがウォーキングをする場合、関節の痛みや靴擦れの痛みを感じにくい場合があるので、注意が必要です。
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苦手に感じる理由と対策
さて、ここからはご利用者さんが苦手に感じてしまう4つの理由と、その対策についてご紹介します。
全ての項目に共通して言えることですが、「何が何でも歩くこと」を目的にせず、上手く言ったらOKくらいの感覚で取り組むのがポイントです。
歩く目的がわからないから苦手
物事を筋道立てて考えるのが苦手なご利用者さんの場合、「なぜ歩くのか」を理解するのが難しいケースが考えられます。何のために歩くのかを、ハッキリと目に見える形で示すことができれば対策できるかもしれません。
こうやって対策する!
ウォーキングの途中や終わった後に「楽しみ」を追加する
⇒「ウォーキングの途中に自動販売機でお茶を買う」「帰ってきてからコーヒーを飲む」など
用事や役割を追加する
⇒「絵を描く人のために、公園の写真を撮ってくる」「ゴミ拾いをしながら歩く」など
気持ちが切り替わらないから苦手
やめ時を作ることが苦手なご利用者さんの場合、「今している活動」から「ウォーキング」にスムーズに移行できないケースが考えられます。きっかけを共有することが対策になるかもしれません。
こうやって対策する!
・専用のウォーキングシューズやウェアを用意する
・「この音楽を聞いたらウォーキングに行く」というルーティンを作る
・朝イチ、昼食後など、キリのいい時間帯にウォーキングを設定する
変化がないから苦手
ご利用者さんによっては、変化がないことで苦手意識を持ってしまう場合も考えられます。施設周辺の環境にもよりますが、変化をつけることが対策になります。
こうやって対策する!
・歩くコースを複数用意する
⇒くじ引きなどで「今日のコースを決める」という流れを作ると、ゲーム性が加わって変化がつきやすい
・時間帯をバラバラにする
・一緒に行くメンバーを変える
⇒「今日は支援者と2人で」「今日は4人のグループで」など
「歩かなければ」というプレッシャーが苦手
運動が苦手で、歩くことそのものに抵抗がある場合は、「運動のプログラムを設定する」という支援自体がプレッシャーになってしまうことも考えられます。思い切って、「ウォーキング」以外の方法で歩いてみるのはいかがでしょうか。
こうやって対策する!
・ショッピングモールなどに行き、「結果的に歩く」という状況を作る
・用事や役割を追加する
⇒「絵を描く人のために、公園の写真を撮ってくる」「ゴミ拾いをしながら歩く」など
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まとめ
今回は、「ウォーキングが苦手なご利用者さんへの支援は、こんな方法で対策しよう!」というテーマで、生活介護事業所ならではのウォーキングの注意点や、苦手に感じてしまう理由と対策についてご紹介しました。
- ご利用者さんの特性を知ることも大切なスキル
- なぜ苦手なのかを知ることで、対策が変わる
- 「結果的に歩く」という方法も有効
思い切ってウォーキングの時間以外でも「結果的に歩ければOK」と割り切ってしまうことで、逆に支援の幅が広がる可能性があります。
それぞれの施設の特徴や社会資源をフル活用し、素敵なウォーキングライフをお楽しみ下さい。
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