めざせ!説明上手〜ご家族さんに伝わる「やさしい言いかえ」3つのヒント〜

伝え方・言葉の工夫

生活介護の現場で、「ご本人さんやご家族さんには、できるだけ専門用語を使わずに説明する」。
それを大切にしている支援員さん、多いのではないでしょうか。

でも、いざ言い換えようとすると──
言葉を選ぶのに時間がかかる
説明がまわりくどくなって、かえって伝わりづらくなってしまう
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

この記事では、

  • ご家族に“伝わる言いかえ”が知りたい生活支援員さん
  • 新人研修で説明する立場になった中堅職員さん
  • 専門用語を「わかりやすく伝えるのが苦手」と感じる方

に向けて、専門用語をかみ砕いて説明するためのコツや、実践的なステップをご紹介します。


専門用語って、どこからが“専門”?

専門用語とは、「ある集団の中で通用する言葉」。チームの習熟度によっては認識に差があることもある。

福祉の世界には、「個別支援計画」や「支援手順書」のような書類名のほか、
「ADL(エーディーエル)」「QOL(キューオーエル)」のような略語、
さらには「PT・OT」など職種を示すものまで、さまざまな“専門用語”があふれています。

加えて、「今日はフリーです(=送迎業務なし)」など、職場内だけで通じる言葉も、広い意味では専門用語と言えるかもしれません。

同じ職場でも、ベテランと新人では“共通語”の範囲に違いがあります。
だからこそ、言い換えの力が必要なんです。


なぜ、専門用語は使われるのか?

専門用語がなかったら、説明はどうなるでしょう。

たとえば「レスパイトケア」という専門用語がなければ──
「一時的に介護から離れて、心身のリフレッシュができる支援を…」と、長くなってしまいます。

専門用語には、「共通理解によって話がスムーズになる」という強みがあります。
だからこそ、”使いどころ”と“伝えどころ”の見極めが大切になります。


「伝わる説明」に近づく3つのヒント

① 相手に寄り添う“前置き言葉”を使ってみる

ちょっと難しい言葉ですが、“○○”はご存じですか?」

このひと言があるだけで、相手に確認しながら話を進めることができます。
知らなくてもOK、知っていたら自信になる──どちらでも安心して聞ける空気を作れます。

新人研修や実習生の受け入れなどでも活用できる、支援員にとっての“頼れる言葉”です。


② 2ステップで言い換え練習をする

一気にうまく言い換えようとせず、2段階で練習するのがポイントです。

ステップ1:日常の言葉を、もっと簡単な言葉に言い換える。
例:「終わりです」→「おしまいです」
それだけで伝わりやすくなるケースもあります。

普段使っている言葉を言い換える。動作⇒動き。静養⇒休む。

ステップ2:少し難しくても別の言葉に置き換えてみる。
100%正確じゃなくてもOK。言葉のバリエーションが増えることで、応用力が育ちます。

他の言葉に置き換える。動作⇒所作、挙動。入浴⇒湯船に浸かる。

③ 思いきって“かみ砕いて”、そこから削っていく

「ADL=日常生活動作」
これだけでも少し専門的。さらに、「着替え、食事、トイレなど、自分でできること」と言い換えることもできます。

でも、もっとシンプルにするなら──
自分でできること、どれくらいありますか?
と、日常の感覚に近づけて伝えるのもひとつです。

削りすぎが不安な場合は、「もっと詳しく説明することもできます」と添えることで、相手が選べるようになります。


説明とは、「理解の確認」でもある

ご家族さんが、支援員の話を聞くとき。
たいていは、わからないことばかりのスタート地点に立っています。

だからこそ、「ひとつでも伝わった」と思えることは、大きな一歩。
そしてその説明が、支援員自身の理解を深める機会にもなるはずです。


おわりに

「わかりやすく説明したいのに、言葉に詰まってしまう」
その悩みの背景には、支援員さんのやさしさと責任感があります。

専門用語を使わずに伝えたい──
その思いがあるだけで、もうあなたは“説明上手”の第一歩を踏み出しています。

大切なのは、“伝わること”と“伝えようとすること”。

今日から、身近な言葉をひとつ、別の言葉に言い換えてみることから始めてみませんか?

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