私は、「学び」は生きる力になる!というテーマで、障害がある人を対象とした生涯学習講座を担当しています。今回は、算数系の講座の流れを紹介します。
「算数って難しそう」「とっつきにくさがある」
算数と聞くと、そんなネガティブなイメージが先行する人が多いかもしれません。そこで今回は、スーパーにある無料の〇〇を使った、計算問題をやってみましょう。
この記事は、
・計算問題の苦手意識をなくしたい人
・算数系の講座をやりたいと思っている生活支援員さん
・生涯学習について知りたい人
におすすめです。
なぜ〇〇を使うの?
今回使うのはスーパーで無料配布されている「レシピカード」です。このレシピカードを使って、計算問題に取り組んでもらおうというのが、今回の講座の流れです。
レシピカードを使う理由は2つあります。
ご利用者さんがイメージしやすい
レシピカードには、ご利用者さんが知っている言葉がたくさん載っています。この「知っている言葉」は、「頭の中に思い浮かべることができる」という強みがあります。
単純に「50×3」を計算するのではなく、「牛乳50ミリリットルを3人分」と考えるほうが、何となくイメージしやすいのではないでしょうか。
出来上がりや材料など、具体的なものをイメージすることができるので、計算をより身近に感じることができるというメリットがあります。
日常生活の興味に発展させやすい
今回は計算問題がメインですが、レシピカードを使うので、「この料理を作ってみたい!」「レシピカードをもらうために買い物に行きたい!」といった、日常生活の興味に発展させやすいのが、2つ目の理由です。
外出のプログラムと組み合わせて、買い物に行った時にレシピカードをもらってきてもらう流れを作るなど、講座以外でもご利用者さんに役割を持ってもらうきっかけになります。
導入
レシピカードを使う事が、講座の肝なので、流れは至ってシンプルです。
今回は、架空のレシピカードを用意します。万が一ないとは思いますが、材料は割と適当ですので、このレシピで作らないでくださいね。
「今回は、料理のレシピを使って計算問題をします」と切り出す王道パターンがおすすめです。状況によっては、計算よりもグラタンが頭から離れなくなってしまうご利用者さんもいますが、それはそれでOKです。
楽しい時間を過ごすことをメインに、生涯学習講座を続けていきましょう。
発展
ここからは、時間の許す限り「問題を出す⇒計算問題を解く」の流れを繰り返していきます。
例えば、「3人分ではなく、6人分で作りたい」という問題を出したとします。ここでのポイントは、「2倍にしましょう」という方法を先に伝えるのではなく、「どうすれば3人分を6人分にできるか」という方法を考えてもらうことです。
- すべての材料を2倍にする
- 3人分+3人分で足し算する
- 1人分を計算して6倍する
など、答えは1つに決まっても、そこに至るまでの計算方法は1つではありません。
「2人分で作りたい」「5人分で作りたい」など、数字を変えることで、問題をたくさん用意することができます。
大さじなどは、小さな数字を使うので、計算問題が苦手なご利用者さんでも対応しやすいですし、難しければ図で示すなど、ご利用者さんの理解度に合わせて問題を工夫してみてください。
おわりに
まとめ方も至ってシンプルでOKです。
「工夫次第で、◯人分を作ることができる」
「掛け算が苦手でも、足し算だけでできる方法もある」
という事を伝えて終了します。ご利用者さんからその感想が出ることが望ましいですが、無理に引き出す必要はありません。
この講座の『W・I・N』ポイント
ご利用者さん1人ひとり感じ方が違うという前提で、この講座の『W・I・N』ポイントを挙げておきます。
「わかった! (W)」 ⇒ 計算問題が解けた!
「いいね! (I)」 ⇒ その計算方法は考えつかなかった!
「なぜ? (N)」 ⇒ ccとミリリットルは何が違うんだろう?
まとめ
今回は、スーパーにある無料のレシピカードで、算数の講座をやってみよう!というテーマで、レシピカードを使う理由や、講座の流れをご紹介しました。
- レシピカードを使うことで、計算を身近に感じてもらえる
- 掛け算が苦手な場合は、足し算で攻略するのもアリ
- 計算も大事だけれど、「どうやったらできるか」を考えることも大事
講座の流れはいたってシンプルですが、レシピカードを使うというアイデアで、ベーシックな計算問題と差別化できます。レシピカードは教材としてストックするも良し、調理実習の時間があればそちらで活用することもできます。
「大さじ1は何mlか」、「小麦粉大さじ1としょうゆ大さじ1は同じ重さか」といった方向へ発展させていくことも可能なので、レシピカードを使った講座はおすすめです。
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