「食事が楽しい」と思い続けたい。これは、ご本人さんだけでなく、ご家族さんや職員さんの願いでもあるのではないでしょうか。この記事では、どんな人にやわらか食が必要かを知ることで、少しでも長く食事を楽しいと感じてもらえるようなお役立ち情報をまとめています。
- やわらか食の定義がわからない
- 将来的にやわらか食を検討したい人がいる
- 食事が楽しいと思えなくなることが不安
「やわらか食」=「高齢者向け」というイメージが先行しがちですが、障害のある方にとってもやわらか食が必要になる場合もあります。実際に、私が関わっているご利用者さんにも、普通食が食べられないという人がいます。
この記事は
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・やわらか食が必要な人について知りたい生活支援員さん
・やわらか食を検討しているご家族さん
・「食事が楽しい」と思い続けたい当事者さん
におすすめです。
「やわらか食」とは
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介護食の形態の1種で、歯茎や舌でつぶせるくらいの柔らかさに加工した食事のことを言います。
実際に食べた事があるんですが、食感は「昔ながらのプリン」でした。完全になめらか、というより少し舌触りがあります。(※個人の感想です)
やわらか食は、加熱して柔らかくしたり、ペースト状にしてから形を整えるなど、食材の形を保ったまま調理するのが特徴です。
私が食べたのは、主菜が1品と、副菜が4品入った冷凍タイプのやわらか食でした。「どんな料理なのか」が、パッと見てわかったので、見た目にも美味しそうだったのがとても印象に残っています。
⇒【関連記事】『生活介護事業所の食事介助、「介助する側が食べてみる」ことが大切です』
やわらか食の3つのメリット
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続いて、やわらか食を導入する3つのメリットについてご紹介します。
美味しそう
食事は単なる栄養補給の作業ではありません。身体に必要な栄養だけでなく、心も満たしてくれるのが食事の本来のあり方です。
見た目が普通の食事とほとんど変わらないやわらか食は、「美味しそう」という視覚の面から食欲に訴えかけることが可能です。
何を食べるのかがわかる
介護食には、普通食を5ミリ程度の大きさ(状況によって調整します)に刻んだ「きざみ食」や、ミキサーにかけた「ミキサー食」など、様々な種類があります。
それぞれの種類については割愛しますが、やわらか食以外は「食事の見た目が大きく変わってしまい、何を食べるのかが分かりにくくなる」という特徴があります。
やわらか食は、「何を食べるのか」がわかるので、食べる楽しみを維持できる可能性が高まります。
飲み込みやすい
一般的に、口の中でまとまる食材は飲み込みやすいです。やわらか食は口の中でまとまりやすいので、総じて飲み込みやすいという特徴があります。
適度な硬さがありつつ、飲み込みやすいので、見た目と食べやすさのバランスが両立できる食事形態であると言えます。
やわらか食の2つのデメリット
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メリットがいっぱいのやわらか食ですが、もちろんデメリットもあります。ここでは2つのデメリットを挙げていきます。
食材の持ち味がなくなりがち
やわらか食は「昔ながらのプリン」を目安に食材を柔らかく加工します。そのため、普通食を食べる人よりも、食感や歯ごたえを楽しむことができません。
噛むことは満足感につながるため、それがなくなってしまうのはデメリットと言わざるを得ないのかもしれません。
ご飯の硬さを可能な限り好みに近づけるなどの方法で対応することで、少しでも食べる楽しさを維持できる工夫が大切です。
調理に手間がかかる
食材を柔らかく調理しつつ、本来の見た目に近くなるように加工するやわらか食は、他の介護食の形態に比べて、どうしても調理に手間がかかります。
圧力鍋などを利用して、調理時間を短縮するなどの工夫で対応できますが、冷凍の宅配弁当など、配食サービスなどを利用するなどの方法を検討するなどの方法もあります。
やわらか食が必要な人
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この記事もいよいよ後半です。ここでは、「やわらか食」が必要な人についてご紹介します。お昼は通っている施設で調理されたやわらか食を食べ、自宅では宅配サービスを活用するといった場合もあります。
噛む力が低下している人
お年寄りに限らず、障害のある人でも、噛む力が低下してしまうケースがあります。
やわらか食は「昔ながらのプリン」くらいの柔らかさなので、噛む力が低下しても比較的食べやすいのが特徴です。
少しでも長く、自分で噛む力を維持するための1つの手段として、やわらか食の導入は検討の余地アリだと考えています。
「食事の見た目」を重視したい人
普通食は食べられないけれど、きざみ食では何を食べているかわからないから食欲が湧かない、という場合には、やわらか食を導入することで食欲を維持できる可能性があります。
舌で味わうだけでなく、目でも味わえるのが料理の素晴らしいところです。「飲み込む力が弱ったから」と諦めてしまうのではなく、1つの可能性としてやわらか食を導入するのはいかがでしょうか。
唾液の分泌が少ない人
年齢とともに唾液の分泌量は少なくなりますが、それ以外にも服用している薬の影響などで唾液の分泌量が低下してしまうことがあります。
唾液の分泌量が少ないと、口の中で食材がまとまりにくくなり、飲み込むのが難しくなります。
口の中でバラバラになった食べ物が、気管に入ってしまうことも考えられるので、一時的にでもやわらか食の導入が必要になる場合があります。
まとめ
今回は「食事が楽しい」と思い続けたいという願いに寄り添うというテーマで、やわらか食の特徴や、メリット・デメリットなどについて書きました。
- 栄養補給だけでなく、心も満たしてくれるのが食事のあり方
- やわらか食の食感は「昔ながらのプリン」(※個人の感想です)
- 「飲み込む力が弱ったから」と諦める前に導入を検討してみてほしい
大切なのは、ご利用者さんの状況を正しく理解することです。噛む力や飲み込む力だけでなく、「食事」のとらえ方や好みなど、ソフト/ハードの両面から幅広くアプローチすることが大切です。
生活介護事業所でも、「食事が楽しい」と思い続けたい、思い続けてほしい、と願うご利用者さんやご家族さんがいます。その思いに少しでも寄り添うお手伝いができれば嬉しいです。
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