突然の入院から約1ヶ月半、ご家族さんの献身的なケアと、たかさんの頑張りで、「退院」が現実味を帯びてきました。
もちろん手放しでは喜べません。退院に向けて、クリアしなければならない課題がたくさんあったからです。
あくまでも、怪我の治療が終わったから退院するのであって、今まで通りの生活ができるようになったわけではありません。
「たかさんは今までのようには歩けなくなる」
この現実を噛みしめるたびに、胸の奥が苦しくなります。今までの私なら、立ち止まって下を向いているだけだったかもしれません。
ですが、自分のやるべきことを冷静に考え、命を預かる仕事と向き合うことの大切さをたかさんから教わった今の私は無敵です。必要なことは悩むことではなく、「今までのたかさん」と「これからのたかさん」のギャップを少しでも埋めていくことです。
まずは、たかさんが自宅へ戻った時の、危険箇所の洗い出しです。これは専門家の意見も取り入れるべきだと判断し、歩行に適した靴選びと併せて、リハビリ担当のセガワ先生に助言をお願いしました。
「実は、僕も気になっていたんです。」
セガワ先生も、退院後の生活を気にしてもらっていたらしく、リハビリスケジュールの合間を縫って、たかさんの自宅を見に来てくれることになりました。
しかも、靴選びにも同行してくださるというではありませんか。たかさんのリハビリ担当の先生が実際に見てくれれば、これほど心強いことはありません。優しすぎです、セガワ先生。
これ以上ないバックアップがあるものの、課題もたくさんありました。
まずはセガワ先生のスケジュールです。本来の業務の合間に動いてくださるので、病院を出て、靴屋さんに行き、たかさんの自宅を見てから病院に戻る。という工程を、できるだけスムーズに、かつ1回で終わらせる必要があります。
これに関しては、事前に移動ルートを決めておき、打ち合わせを入念におこなうことで解決できそうです。
残る課題は、たかさんが病院を出るのが1ヶ月半ぶりだということです。体力面はもちろん、普段着に着替えることにも不安がありました。
物事を筋道立てて考えることが苦手なたかさんには「いつもの服に着替える」が「退院できる」と結びついてしまう恐れがあったからです。たかさんに「もう一度戻ってくる」を伝えるのはとても大変なことでした。
ご家族さんに、セガワ先生とのお話に集中してもらうためにも、たかさんの不安に寄り添うのは私の役目です。
かくして、「チームたかさん」が動き出しました。
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