本音を話してもらえない…と悩む支援員さんへ

現場のアイデアと工夫

面談が苦手なご利用者さんと向き合う、やさしい工夫

生活介護事業所で働く生活支援員の皆さん、いつも本当にお疲れさまです。
突然ですが、こんな経験はありませんか?

  • 「本音で話せない」とご利用者さんに言われたことがある
  • 面談に対してネガティブな反応が返ってくる
  • 一応話は聞けたけれど、なんだかうまく引き出せていない気がする

このようなモヤモヤを感じている支援員さんに、今回は「話す内容」ではなく「話す環境」に焦点をあてた、ちょっとしたヒントをお届けします。
「異業種からの転職がある」「現場歴15年」の私が、実際に試してきた工夫の中からご紹介します。


面談って、どうして苦手になるの?

生活介護に限らず、障害福祉の現場では、面談の機会が意外と多くあります。

  • 個別支援計画に必要な聞き取り
  • ご利用者さんやご家族との相談
  • 何か課題が生じたときの振り返り など

大抵は、相談室や会議室といった静かな空間で、向かい合って話すことが多いですよね。
けれど実は、その「場」こそが、ご利用者さんにとって大きな壁になっていることがあります。


「本音が言えない」と教えてくれたご利用者さんの言葉

3年ほど前のことです。
あるご利用者さんからこんな相談を受けました。

「面談ってなると、どうしても本音を言えなくなるんです。」

普段は冗談も交えながら、自分の意見をしっかり伝えられる方です。
でも「面談」と名がついたり、個室に移動するだけで、

  • きちんとしなきゃ
  • 本音を言って相手を嫌な気持ちにさせたくない
  • 緊張して言葉が出てこない

と、頭の中がいっぱいになってしまうそうです。

その時ふと思いました。
「話してもらうこと」ばかりを意識して、話しやすい「場」づくりを見逃していなかったか? と。


面談の目的を見直してみる

その方に、「じゃあ、緊張せずに話せるのはどんなときですか?」と聞いてみました。
すると返ってきたのは――

「車に乗ってるときですね。」

ドライバーとふたりだけ、進行方向を見ながら。そうすると、ふいに言葉が出てくることが多いとのこと。
このエピソードから、改めて感じたことがあります。

💡 面談の目的は“形式”ではなく、“気持ちを聞くこと”
場所やスタイルにとらわれすぎず、「その人に合った関わり方」を考えることの大切さを教えてもらいました。


私が実際に行っている「場の工夫」

「面談が苦手」と一口に言っても、その理由や感じ方は人それぞれ。
ここでは、私が支援の中で実践してきた工夫をご紹介します。

◆向かい合うのが苦手な人には?

横並び・斜め前で座る

向かい合うだけで緊張が強くなる方には、目線がぶつからない位置に座ることで、圧を感じにくくなります。
安心感が生まれ、表情も柔らかくなりやすいです。

◆「面談」という言葉自体がプレッシャーに?

活動中や送迎車内でさりげなく会話

運動や作業活動中、あるいは車での送迎中など、「改まらない場面」でこそ本音が出ることも。
もちろんプライバシーへの配慮は必要ですが、面談の形にこだわらない工夫が有効なこともあります。

◆どうしても会議室で行う必要がある場合は?

少しだけ「くだけた空気」を意識する

  • 飲み物を用意する
  • 机を片付けて椅子だけにする
  • 天気や趣味などの雑談から始める

など、少しリラックスした空気を演出することで、緊張感を和らげられることもあります。


対面形式が効果的なケースもある

一方で、対面形式がプラスに働くケースもあります。

  • 今“何の時間か”を見失いやすいご利用者さん
  • 適度な緊張感で集中しやすいタイプの方
  • 相手の表情から意図を読み取る力が強い方

また、社会的な場面の空気を察するのが苦手なご利用者さんにとっては、「今は真剣な話をしている時間です」と明確に伝える役割も果たせます。


まとめ:話せないのは「支援員のせい」ではありません

面談でご利用者さんがうまく話せなかったとき、
「自分の聞き方が悪かったのでは?」
「もっと話を引き出せる人がいたのでは?」

そんなふうに思ってしまう支援員さんも多いと思います。

でも、そうじゃないんです。

💡 話せなかったのは、あなたのせいではなく、「話しやすい環境が整っていなかっただけ」かもしれません。

形式にとらわれず、その人らしく話せる“場”を一緒に探していくこと。
それはきっと、ご利用者さんにとっても、支援員さんにとっても心地よい関係づくりにつながっていくはずです。

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