気配り上手な生活支援員になるための「ついで掃除」のテクニックとは?

「ついで掃除」のテクニック 支援のアイデア

今回は生活介護事業所の掃除に関する記事です。施設の掃除(業務)と聞くと、「めんどくさい」「時間がかかる」というイメージが強く、ネガティブなとらえ方をしてしまう人もいるかも知れません。

「目の前の業務で手一杯で、時間が確保できない」

「誰がやっても同じじゃないの?」

「介助のスキルを磨くべきなのでは?」

そう思っているアナタは、この記事を読んで変われるチャンスです! 今回は、現場歴15年の私の経験をもとに、生活介護事業所の掃除に特化した、「気配り上手な生活支援員になれる掃除の方法」をご紹介します。

その名も「ついで掃除」。何かと時間に追われがちな生活支援員さんにピッタリの方法で、私も現場で実践しています。

この記事は、

・新人の生活支援員さん

・研修担当の職員さん

・掃除が好きになれない生活支援員さん

におすすめです。

掃除をする時の気配りポイント3つ

掃除の目的は「きれいにすること」です。生活介護事業所とは、「日常生活にサポートが必要な障害のある人が、生活面での支援を受けながら日中過ごす場所」なので、掃除をしてサポートを受けやすい環境を整えることも大切な業務の1つです。

まずは、生活支援員として持っておきたい、掃除をする時の気配りポイントを3つご紹介します。

⇒【外部リンク】『障害福祉サービスについて』:厚生労働省

⇒【関連記事】『生活介護事業所って何? 中の人がわかりやすく解説します』

①ご利用者さんの目線になってみる

1つ目は「ご利用者さんの目線になってみる」という事です。「ご利用者さんの立場で」という意味ではなく、物理的に視線を合わせてください。

・車椅子を利用している

・椅子に座っている

・セラピーマット(床)に座って過ごしている

など、実際に生活しているご利用者さんの目線で施設を見ることで、自分の目線では気づかなかった部分の汚れなどに気づくことができます。

②危険を予測する

2つ目の視点は、「危険を予測する」事です。

ASD、特に自閉的傾向の強いご利用者さんだと、「無いはずのものがある」「あるはずのものがない」という状況が極端に苦手で、不安や混乱が強くなってしまう場合があります。

私の職場にも、雑巾の置き場所が気になって仕方がないご利用者さんがいます。「ここに〇〇がある(ない)状態だと、〇〇さんが混乱してしまうかもしれない」と予測することで、対策が取りやすくなります。

自分の不安をわかってもらいたくて、自分や誰かを傷つけてしまう恐れもあるので、ご利用者さんの精神的な安全を担保するという意味でも、危険を予測するという視点は大切です。

③ご利用者さんの不調に気づく

視点の3つ目は「ご利用者さんの不調に気づく」事です。

これは私自身の経験ですが、掃除をしていて「ある場所にだけ、髪の毛がまとまって落ちている」という状況が3日ほど続いたことがあります。他の支援員と情報を共有したところ、その場所であるご利用者さんが自分で自分の髪の毛を抜いていたことがわかりました。

家庭からは「ストレスのサイン」と伺っていたので、速やかに連絡を取って対応したというケースがあります。

掃除をしていると、「特定の場所だけ汚れがひどい」「あるご利用者さんの席の周囲だけが、常に汚れている」という状況に気づくことがあります。

そういった状況には、ご利用者さんの不調のサインが隠れているかもしれないという視点を持つことが大切です。

普段の業務にプラスα

私が実践している「ついで掃除」とは、文字通り「何かのついでに掃除すること」です。1回1回のアクションは小さくても、積み重なれば大きな差になります。

この章では、私の実体験を元にして、「ついで掃除」が活躍するシチュエーションをご紹介します。

出勤したついでに

生活介護事業所は通いの施設です。自分が出勤したついでに、ご利用者さんの安全をチェックしちゃいましょう。

ココをチェック!

①押しピンやガラス片などが落ちていないか ⇒ 踏んで怪我をしてしまったり、車椅子がパンクしてしまう原因になる

②濡れた落ち葉や掲示物が落ちていないか ⇒ 滑って転倒してしまう原因になる

もしこのような状況を見つけたら、サッと拾っておくだけで安心感が違います。

ハミガキ介助のついでに

食後のハミガキ介助を希望されるご利用者さんがいる場合は、ついでに洗面所の周辺をチェックするのがおすすめです

ココをチェック!

①蛇口の周辺に食べかすが飛んでいないか ⇒ 気になって触ってしまったり、口に入れてしまったりする原因になる

②床が濡れていないか ⇒ 滑って転倒してしまう原因になる

③歯ブラシは所定の場所に収まっているか ⇒ 間違って使ってしまったり、置き場所が気になるご利用者さんが、不用意に触ってしまう原因になる

見つけ次第サッと掃除するだけで、次の人が気持ちよく使えるようになります。

トイレに行ったついでに

ご利用者さんも職員さんも同じトイレを使っている場合は、自分がトイレに行ったタイミングも、「ついで掃除」で環境を整えるチャンスです。

ココをチェック!

①トイレットペーパーは切れていないか ⇒ 「ない場合にどうしたらいいか」が分からないご利用者さんがいる

②床は濡れていないか ⇒ 滑って転倒してしまう原因になる。もし水ではなかった場合、病気などを媒介してしまう原因になる

経験上、トイレ介助のときよりも自分がトイレに行ったタイミングのほうが落ち着いて周囲の状況をチェックできます。

そうは言っても…

頭ではわかっていても、「そうもいっていられない現実」が必ずあります。

・掃除の途中で別な用事を頼まれた
・片付けの最中にご利用者さんが急変した
・ご利用者さんの対応中に荷物が届いた

などなど、途中で作業を中断しなければならない状況を経験しているのは、私だけではないはずです。

生活介護事業所に限らず、支援は人間同士のやり取りですから、予定と違ったことが起こるのは当たり前のことです。

できないときは職員同士でサラッとカバーし合うことも含め、掃除をする人がいるから気持ちよく使うことができる、という事を共有することが大事だと考えています。

⇒【関連記事】『「生活介護事業所の生活支援員」の仕事はココが大変』

まとめ

今回は、気配り上手な生活支援員になれる「ついで掃除」のすすめというテーマで、生活介護事業所ならではの視点や、ついで掃除のチェックポイントについてご紹介しました。

  • ご利用者さんが過ごしやすい環境を整えるのも大切な業務の1つ
  • 思わぬ所に危険の因子が潜んでいる
  • 無理な時はみんなでカバーし合うことが大切

「ついで掃除」はあくまでも「何かのついでにやる掃除」です。『普段の業務にプラスα』の章でも触れましたが、1つ1つのアクションは決して大きくありません。ですが、毎日積み重ねれば大きな差になります。そして、施設全体で取り組めば、更に大きな差になります。

掃除は、ご利用者さんが快適に過ごせる環境を整えるための、立派な支援です。時間がないからやらないのではなく、ある時間で何ができるかという視点で考えることが大切ではないでしょうか。

⇒【関連記事】『福祉の現場でのリフレーミングとは?ポジティブシンキングとの違いを解説』

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