生活介護事業所に限らず、福祉の世界で働く人って「腰が痛い」っていうイメージはありませんか。平成22年のデータですが、厚生労働省の資料でも”業務上疾病のうち、腰痛が占める割合が増加傾向にある”と指摘されています。
👉️介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ(厚生労働省:PDF)
介助にともなう腰への負担は、
多くの支援員が感じている現場の課題です。
そこで今回は、
生活支援員歴15年の私が現場で実践している腰痛予防の考え方として、
「声かけ」を使った介助の工夫を紹介します。
実は声かけは、
ご利用者さんとのコミュニケーションだけではなく、
腰への負担を減らす技術にもつながります。
【📌ぎっくり腰の経験あり。腰痛対策に気を遣っている私のプロフィールはコチラ】
この記事を読むと
・腰痛予防と声かけの関係について知ることができます
・「ご利用者さんに合わせたタイミング」についてのアイデアを得ることができます
・「意識を同じ方向に向けること」の大切さについて学べます
腰痛予防のポイントは「タイミングを合わせること」
介助をしていて、
「思ったタイミングで動いてもらえない」
と感じたことはありませんか?
例えば、
- 立ち上がり介助
- 移乗介助
- 体位を整える場面
こうした介助では、支援員とご利用者さんの動くタイミングが合うことがとても大切です。
もしタイミングが合わないと、
- 余計な力を使う
- 身体を無理に支える
- 動作が不安定になる
といった状態になりやすく、
結果として腰への負担も大きくなります。
そこで役立つのが、
「声かけ」でタイミングを合わせることです。
私が声かけを意識するようになったきっかけ
私が声かけを意識するようになったのは、
「介助しようとしているときに、
ご利用者さんの意識が別のところに向いていると動きが合いにくい」
と感じたことがきっかけでした。
例えばトイレ介助なら、
介助する側もされる側も
「今からトイレ介助をする」
ということに意識が向いている必要があります。
こうした状態は、心理学では
**「共同注視」**と呼ばれています。
👉️共同注視とは何か、そしてそれが障害されるとどうなるか(外部リンク)
つまり、支援員とご利用者さんが、
同じ方向に意識を向けること。
これが、スムーズな介助につながります。
「ご利用者さんに声をかけたけど、伝わらなかった」という経験はありませんか?
そんな時は、声かけの言葉を言い換えることを試してみるのはどうでしょうか。こちらの記事で、詳しく解説しています👇️
声かけが腰痛予防につながる3つの理由
① 自分の体を「介助モード」に切り替える
「1、2の3でいきますね」
と声に出すことで、
自分の体にも自然と準備が生まれます。
声に出すことで、
- 構える
- 姿勢を整える
- 力を入れるタイミングを作る
といった動作が整い、
無理な姿勢で介助してしまうことを防ぎやすくなります。
② ご利用者さんにも心の準備をしてもらえる
突然身体を動かされると、
誰でも驚いてしまいます。
すると、
- 身体に力が入る
- 動きが止まる
- バランスが崩れる
といった状態になりやすくなります。
声かけで動作を伝えることで、
ご利用者さんも心の準備ができ、
自然な動きで介助に参加しやすくなります。
③ 介助に必要な「力」が軽くなる
脱力した状態の体は、
思っている以上に重く感じます。
しかし、
「いきますね」
「一緒に立ちましょう」
と声をかけることで、
ご利用者さんが少しでも体を動かしてくれれば、
介助に必要な力は大きく変わります。
つまり声かけは、
支援員一人で支える介助から、
「一緒に動く介助」に変える技術でもあるのです。
声かけのコツは「リズム」

「同じ介助方法なのに、
Aさんはタイミングが合うのにBさんは合わない」
そんな経験はありませんか?
実はこの違い、
声かけのリズムが関係していることがあります。
例えば、
Aさん
「せーの、ハイ」(2拍)
Bさん
「イチ、ニのサン」(3拍)
Cさん
「イチ、ニ、サン、ハイ」(4拍)
このように、
ご利用者さんによって
動きやすいカウントのリズムは違います。
日々の観察や支援員同士の情報共有の中で、
その人に合うリズムを見つけていくことも大切です。
日々の観察や他の支援者との情報共有で、そのリズムを見つけてみましょう。
実践例:数字が苦手な方とのカウント
以前担当していたご利用者さんに、
数字のカウントが分かりにくい方がいました。
その方とは、
次のような声かけでタイミングを合わせていました。
「いきますよ〜」
「しっかり息を吸って」
「どっこいしょ〜」
このように、
言葉のリズムで動作を合わせる方法もあります。
ご利用者さんの特性に合わせて、
柔軟に声かけを工夫することが大切です。
まとめ|声かけは「腰痛予防の技術」
生活支援員の腰痛対策というと、
- ボディメカニクス
- 姿勢
- ストレッチ
といった身体の使い方が注目されることが多いです。
もちろん、こうした知識も大切です。
ですが現場で働いていると、
介助のタイミングを合わせることが
身体の負担を減らす大きなポイントになると感じます。
声かけによって、
- 自分の体の準備
- ご利用者さんの心の準備
- 動作のタイミング
を整えることができます。
それは単なるコミュニケーションではなく、
腰痛を予防するための介助技術のひとつです。
日々の支援の中で、
少しだけ声かけを意識してみるだけでも、
介助のしやすさは変わってくるかもしれません。
【生活支援員のための”腰痛対策”】の記事をもっと読みたい人は、こちらのまとめページから、記事一覧をご覧ください。
【生活支援員の便利帳】では、セルフケアや試験や研修の対策など、生活支援員の業務をあらゆる方面から応援する記事を、「全記事・私の経験ベース」で書いています。
現場歴15年の現役生活支援員で、介護福祉士の資格を持っています。
一人ひとりの話をじっくり聴くのが得意で、ご利用者さんの悩みを言語化したり、やさしく言い換えることに自信があります。
実は、2024年の夏頃にぎっくり腰になってしまいました。それ以来、腰痛対策としてのセルフケアにも関心を持ち、発信を続けています。
介護福祉士について、詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください👇️







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