障害支援区分認定調査って、何をどう答えればいいの?

区分認定調査は、何をどう答える? 疑問・悩み

福祉施設職員の皆さん、いつもお仕事お疲れ様です。今日は「障害支援区分認定調査の時に、同席することになったけど、何をどう答えていいの?」という疑問にお答えします。

  • 自分の答えでご利用者さんの区分が決まってしまうの?
  • そもそも何のために職員が同席するの?
  • 初めて同席することになって不安しかないんだけど…

安心して下さい。障害者福祉の現場歴15年の私が、「同席する職員の目線」で「何をどう答えていいのか」について書いていきます。私の職場では、障害支援区分認定調査は、区分認定調査認定調査というふうに略されています。この記事ではタイトル部分を「障害支援区分認定調査」、本文を「認定調査」で書いていきますね。

この記事は、

・認定調査に同席することになった職員さん

・区分認定の仕組みを知りたい生活支援員さん

・わかりやすく説明してほしいご家族さん

におすすめです。

障害支援区分認定調査とは?

簡単に説明すると、障害支援区分を判定するための調査です。

なぜ、障害支援区分を判定する必要があるかというと、「障害福祉サービスの必要性を明確に判断するため」です。例えば、私が勤めている生活介護事業所は、「障害支援区分3以上(※1)」の人が利用できる、等の決まりがあります。

障害支援区分認定調査では、各市町村の認定調査員がご本人さんやご家族さんと面談します。調査する項目は、3障害(身体・知的・精神障害)と難病等の対象者に共通で、全部で80項目あります(2023年10月現在)。

⇒【参考資料】『認定調査員マニュアル』:厚生労働省

⇒【関連記事】『生活介護事業所って何? 中の人がわかりやすく解説します』

施設職員が同席する理由

認定調査をする認定調査員さんは、厚生労働省の『認定調査マニュアル』に基づいて調査に来てくれます。

必ずこの場所で実施する、というルールがあるわけではなく、対象となる人の「普段の様子がわかる場所」で面談します。調査員さんから連絡があったということは、施設が「ご利用者さんの普段の様子が分かる場所」として判断されたということです。

そして、職員が同席する理由は「できるだけ正確な情報を集めるため」です。私の経験も交えながら説明していきます。

物事を筋道立てて話すのが苦手

障害特性によっては、物事を筋道立てて話すことが苦手だったり、話している途中で何について話していたのかを見失ってしまうケースがあります。

認定調査は原則として1回で終わらせることになっているため、職員として話題の軌道修正をする場合があります。

判断能力が充分ではない

全てのご利用者さんに意思があります。ただし、それを汲み取ることが極めて難しいケースがあるのも事実です。調査員の質問を理解することが苦手だったり、状況を判断することが難しい場合は、同席した職員が代わりに答えることもあります。

全て「できる」と答えてしまう

決して「できる」と答えてはいけないと言っているのではありません。

例えば、調査員に「できない」答えるのに恥ずかしさがあって、「できる」と答えるケース。ご利用者さんが「できる」と答えたことでも、実際には「できない」という項目に該当していたというケースなど、ご利用者さんからの情報だけでは正確に判断できない場合があります。

『認定調査員マニュアル』には、「できるかできないか迷った場合は『できない』として判定する」という原則があるので、ご本人さんへの聞き取りだけでなく、支援者への聞き取りを実施することでより正確な情報を集めて反映させることができます。

職員としてどう答えるか

認定調査の項目は決まっていますが、どのような順番で聞き取りをするかは定められていません。また、その方法も各調査員に委ねられています。

  • 普段の会話を意識し、その中に質問項目を織り交ぜていく
  • マニュアルの1ページ目から順番に聞く
  • はっきりと答えられそうなものは直接質問し、答えにくそうな質問は会話の中に織り交ぜていく

私自身の経験ですが、調査員さんによって調査の仕方はバラバラです。ですので、施設職員として同席した場合に「このような聞き方をされるからこう答える」というパターンは存在しないと考えて良いでしょう。

ただし、答える基準ははっきりしています。「ご利用者さんが一人暮らしをするとして」という前提で、職員として「できる/できない」を判断していきます。

私の場合

私が職員として同席した場合は、できるだけ具体的な数字を出すようにしています。

例えば、食事介助で「最後まで自分で食べることが出来るか」という内容の質問があったとして、

A、はい。基本的に自分で食べられますが、ごくまれに最後のひとくちを手伝うことがあります。

B、はい。基本的に自分で食べられますが、2週間に1回程度、最後のひとくちを手伝うことがあります。

Bのほうが、客観的に状況をイメージできるのではないかと思います。全て数字で示せるわけではありませんが、発生頻度や量などはできるだけこの方法で伝えるようにしています。

また、「見守りや声掛けが必要」「歯磨きで磨き残しをチェックする必要がある」など、職員として関わっているからこそ答えられる情報もありますので、「これを言っても何も変わらないかも」と思わないように心がけています。

まとめ

今回は、「障害支援区分認定調査で何をどう答えるか」というテーマで、「障害支援区分認定調査とは?」や「職員として同席する理由」について書いてきました。

  • 障害支援区分を判定するために調査を行う
  • 「より正確な情報を集めるため」に施設職員として同席する
  • 「ご利用者さんがひとり暮らしをしたとして」という前提で答える

ご家族さんやご本人さん、施設職員や行政の担当者など、障害支援区分に関するとらえ方や考え方は様々です。対象者の情報をできるだけ客観的に判定し、公平なサービス利用につなげていく最初の1歩を担うのが認定調査員の役割だと考えています。

施設職員としての同席は、確かに緊張するかもしれません。この記事を読んで、少しでも前向きな気持で、認定調査に臨む人が増えてくれたら嬉しいです。

⇒【参考資料】『認定調査マニュアル』:厚生労働省

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