生活介護事業所の食事介助、「介助する側が食べてみる」ことが大切です

介護食を実際に食べてみることが大切 疑問・悩み

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ご利用者さんの生活の満足度に直接関わる食事。私も普段から食の楽しみを大切にすることを意識して仕事をしています。突然ですが、生活支援員の皆さん、やわらか食を実際に食べてみたことはありますか?

  • やわらか食の介助をしたことはあるけど、食べたことはない
  • 介助をする側なのに食べる必要があるの?
  • 食事介助の技術さえあればいいんじゃないの?

そう思う気持ちもよくわかります。私も「実際に食べて見る必要はない」と考えている時期が確かにありました。ですが、実は「食べてみる」ということが、食事介助の技術向上だけでなく、ご利用者さんの「食べる楽しみを大切にしたい」という気持ちにも大きく関わってくるのです。

今回は、実際に食べてみることが大切な理由を、私の職場でも利用している「MFSメディカルフードサービス」の実食レポートを通じてご紹介します。

この記事は、

・やわらか食を食べたことがない生活支援員さん

・研修を担当している職員さん

・食事介助に苦手意識のある生活支援員さん

にオススメです。

やわらか食について

簡単に言うと「噛まずに食べられるくらいの柔らかさに加工した食事」の事です。今回のレポートでご紹介する「MFSやわらか栄養強化」は冷凍タイプのお弁当で、スチームやレンジで加熱して食べます。

「やわらか食が必要な人」については関連記事を、メディカルフードサービスのこだわりについては公式ホームページなどを参照してみてください。

⇒【関連記事】『「食事が楽しい」と思い続けたい。やわらか食が必要な人ってどんな人?』

総出荷600万食突破!栄養価を徹底管理した健康宅配食【メディカルフードサービス】

「実際に食べてみる」事が大切な理由3つ

それでは早速、やわらか食を実際に食べてみることが大切な理由を3つご紹介します

①ご利用者さんと感覚を共有できる

「やわらか食」は噛まなくても食べられるほど柔らかく加工されていますが、全てが同じ柔らかさというわけではありません。実際に食べてみることで、食感の微妙な違いを知ることができます。

実際に食べたことがあれば、食事介助の時に「もちもちした食感の〇〇です」「ぷるぷるした舌触りの〇〇です」など、一言添えながら口に運ぶことができます。

この何気ない一言が、ご利用者さんに「食事が楽しい」と思ってもらえるきっかけになります。

②研修する立場になった時に説明しやすい

実際に食べてみる経験は、研修する立場になった時にも役立ちます。

食事介助は、単に栄養を摂取してもらうだけでなく、「食べる楽しさ」を通じて生活全体をサポートする大切な仕事です。

そのことを研修で伝える時に、「実際に食べたことがある」という経験が言葉に説得力を与えてくれます。

③自分の中に「基準」ができる

食事の形態全般に言えることですが、「それで全てが解決する」という万能の形態は存在しません。ご利用者さんの状態によっては、別途とろみを用意するなどのカスタマイズが必要です。

実際に食べたことがあれば、「この食材にはこれくらいのとろみが必要ではないか」「あらかじめすりつぶすなどの工夫が必要かもしれない」など、細かい部分に気付ける可能性が高まります。

自分の中に「基準」ができるのは大きな強みです。

私の経験【実食レポート】

今回食べてみたのは、「コロッケトマトソース」

レンジで加熱している時から、トマトソースのいい香りがしていました。

「美味しそうな匂いがする。今日は何かな?」と思えることで、食べる前から楽しみが広がるのが素晴らしいです。私もちょっとワクワクしながら開封しました。

控えめに言って「介護食とは思えない美味しそうな見た目」です。主菜と副菜あわせて5品入っているのも良いですね。

味覚には個人差がありますが、私は「主菜は濃い目の味付けで、副菜は出汁がしっかり効いたやや薄めの味付け」と感じました。

主菜のコロッケです。大きめのスプーンの重みにほんの少し力を加えるだけで、スッと入っていきます。最初にトマトソースの味がグッと入ってきて、後からじゃがいもの甘みを感じられる味付けでした。

カリフラワーのマリネはスプーンをおいただけで潰せるくらいの柔らかさ。試しにスプーンで10回くらい混ぜてみたところ、簡単にペースト状になりました。

スプーンを入れている所を撮ればよかった
スプーンで10回くらい混ぜたところ

少し甘みを感じる柔らかい酸味で、お酢特有のつっかえる感じはありませんでした。お酢はむせやすく、誤嚥に繋がりやすいため、酸味を和らげる味付けは気配りが行き届いているなと感じました。

こちらは鶏肉のクリームソースです。鶏肉特有の繊維質が感じられて、「お肉を食べている」のがはっきりと分かりました。

繊維質に対して縦にスプーンを入れても、少しの力で崩すことができるほどの柔らかさです。

煮豆はほんのりとした甘さの中に、大豆の味をしっかりと感じることができる味付けでした。ニンジンの甘煮も、素材の風味が活かされていて美味しかったです。

食感

実際に食べてみると、舌の上に乗せた食材を上顎につけ、ゆっくりと舌を動かすだけで形が崩れていくほどの柔らかさでした。

大豆 ⇒ 柔らかさの中に少しモチモチした感じがある

鶏むね肉 ⇒ 他の肉類に比べて繊維質が感じられる

豆腐、卵焼き ⇒ どちらかというとぷるぷるした食感。細かくなるけどペースト状にはならない

など、あくまでも主観ですが、ただ柔らかいだけでなく、食材によって食感に違いがあります。僅かな違いですが、これが「おかずを食べている」という実感に繋がります。

食事の魅力を引き出す食事介助のコツ

強みを引き出すワンポイントアドバイス

最後に、やわらか食の魅力を引き出す食事介助のコツをお伝えします。食事「介助」に意識が行き過ぎると、見落とすことになりがちなプラスαの気配りを身につけて、ワンランク上の生活支援員を目指しましょう。

見た目の美味しさを伝える

「MFSやわらか食の一番の特徴は?」と聞かれたら、「見た目が美味しそうなこと」と答えます。

匂いや料理の見た目を楽しんでもらうことで、食事がより一層楽しくなります。食事が楽しくなると、レクリエーションなどの日中活動に意欲的になれるなど、支援の好循環が期待できます。

首の関節に拘縮があり、メニューを覗き込むようにして確認するのが難しい場合もありますが、食べる前にメニューを見てもらうことで、

「口に入れるものだから」と最初から混ぜてしまうと、せっかくの見た目が台無しになってしまいます。見た目の美味しさを伝える一手間が、毎日の食事を楽しんでもらうことにつながります。

加熱直後は熱いのでやけどに注意

特に電子レンジで温めた直後は、フィルムを剥がすところからやけどに注意が必要です。

また、利用する人の特性によっては、熱いかどうかを確認せずに口に運んでしまうケースもあるので、充分に注意する必要があります。

私の職場で「MFSやわらか栄養強化」を食べているご利用者さんにも、言葉が出るまでに時間がかかってしまう人がいるため、食べやすい温度になっているかの確認は重要です。

実際に食べることによって、食材ごとに温まり方に差があることを経験できるので、よりきめ細やかな気配りができることに繋がります。

まとめ

今回は、「MFSやわらか食」を食事介助する側が食べてみるというテーマで、実際に食べてみることが大切である理由や、実際に食べてみた時の様子をご紹介しました。

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  • 実際に経験することで、食事介助に活かせる
  • 食事介助は単なる栄養摂取のための作業ではない
  • 「食を楽しむ」ことが、良い循環を生み出す

私は、「食の楽しみ」を大切にしています。それは、単純に食べることを楽しむだけでなく、食事介助の負担を軽減することも含まれます。

食べて見る経験は、余分なひと手間に感じてしまうかもしれませんが、長い目で見ると活きてくる経験の1つです。実際に「そこまでやるの?」と言われ、返事に困ってしまったことがあります。しかし、今となっては「実際に経験して良かった」と自信を持って返事ができます。

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