生活介護事業所の特色ある日中活動としておすすめの「生涯学習講座」。私も「学び」は生きる力になる!をコンセプトに、障害があるご利用者さんのための生涯学習講座を担当しています。
今回ご紹介するのは、読書をテーマにした生涯学習講座です。
この記事は、
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・生涯学習講座を担当している生活支援員さん
・読書が好きな当事者さん
・読書が好きなご利用者さんを担当している生活支援員さん
におすすめです。
知識や教養が身につくだけでなく、ご利用者さんの世界を広げることにも役立つ読書を、「生涯学習講座にするなら」という視点でご紹介します。
生涯学習と読書の相性
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まず、生涯学習と読書の相性はバッチリだと言えます。本を読むことは、新しい情報を得るための非常に優れた手段です。読書という行動そのものが「学び」であり、その時間を確保するための生涯学習講座の時間は、まさに「学びを提供する時間」と言えます。
「読むだけ」で終わらない3つの工夫
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ただし、実施する時には注意してほしいポイントがあります。それは、ただ「読むだけ」にならないようにしたいということです。
決して、講義のスタイルを取らなければならない、と言っているわけではありません。ご利用者さん主体で本を読む流れの中に、3つの工夫を取り入れることで、一気に生涯学習講座らしくなります。
①講座の目的を明確にする
読書をテーマにした生涯学習の場合、基本的にご利用者さんが読みたい本をそれぞれのペースで読んでいくことになります。
私は、「人生の1部分を『読書』に使うプレミアム感を味わってもらうこと」を講座の目的にしています。可能であれば、読書に適した部屋を用意します。
ページをめくることができない人のためのお手伝いや、読めない漢字や意味の分からない言葉を調べて伝えるなど、読書中の手厚いサポートを意識することで、「読書をしている時間」をより有意義なものとして感じてもらえる工夫をしています。
②本のジャンルをある程度決める
ぶっちゃけ、「読みたい本を読む」でいいと言えばいいんですが、事前にご利用者さんと話し合って、本のジャンルを決めてみるのも面白いです。
「普段、エッセイを良く読むので、講座の時間は小説に挑戦する」
「歴代の芥川賞作家の本を読んでみる」
「あえてジャケ買いする!」
など、読みたい本を選ぶ段階から、いつもの読書とはほんの少し違う条件をつけると、講座としての面白みが出ます。
③アウトプットする時間を作ってみる
読みたい本を読んだ後には、意見交換の時間を作るのがおすすめです。情報をインプットするだけでなく、アウトプットすることで情報が定着したり、より理解が深まるなどの効果が期待できます。
また、自分以外の人の意見を聞くことで、新たな気づきを得たり、次に読みたい本のアイデアが浮かぶ可能性があります。
アウトプットする時間を作るのは、生涯学習講座ならではの工夫だと言えます。
様々なスタイル
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「読書」といっても、机に座って本を読むだけが読書ではありません。ご利用者さんの特性によって、様々なスタイルで提供できるのが読書の時間の魅力です。
紙の本で読む
定番の方法ですが、本を読むスタイルはそれぞれです。
ページをめくるのが苦手なご利用者さんには、ブックスタンドを用意したり、座った姿勢が苦手なご利用者さんには、車いすの背もたれを倒して読むなど、それぞれにあった読書のカタチがあります。
電子書籍で読む
紙ベースの本も趣がありますが、電子書籍もおすすめです。ある程度手を動かすことはできるけれど、力が弱く、ページを開いておさえておくことが苦手なご利用者さんの場合は、タブレット端末の操作のほうが適正があるかもしれません。
また、以前読んだ本が時々読みたくなるけど、保管のスペースを取りたくない、という場合には電子書籍が選択肢に入ってきます。
耳で聴く読書
目で見るだけが読書ではありません。オーディオブックを活用した「耳で聴く読書」も素晴らしい方法です。
オーディオブックについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒【関連記事】『「バリア」を『クリア』に!生活介護事業所の「障害のある人の読書の楽しみ方」』
⇒【関連記事】『生活介護事業所で、聴く読書「オーディオブック」をおすすめしたい人とは?』
まとめ
今回は、「読書をテーマにした生涯学習講座をやってみよう」というテーマで、読書と生涯学習の相性や、読むだけにならない3つの工夫などについてご紹介しました。
- 読書と生涯学習講座の相性はバッチリ
- 「読むだけで終わらない」3つの工夫で、生涯学習講座っぽくなる
- さまざまな読書のスタイルがある
生涯学習講座として読書をする最大のメリットは、「継続して時間が提供できること」だと思っています。1日では読み終わらなくても、コツコツ読み進めることで、いつかきっと読み終えたという達成感を得ることができます。
「人生の1部分を『読書』に使うプレミアム感」みなさんも味わってみませんか?
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