作品と商品の違いは何? 生活介護事業所の創作活動を活かすアイデア

作品と商品の違いは何? 疑問・悩み

生活介護事業所で働く皆さん、今日もお仕事お疲れ様です。皆さんの施設では、ご利用者さんの創作活動の時間はありますか? そして、ご利用者さんが作ったものを販売する機会はありますか?

  • 作品と商品の違いがわからない
  • 施設の備品を使った作品は誰のものなの?
  • ご利用者さん作品の活かし方がわからない

今回は、生活介護事業所で働く私が、作品と商品の違いを明らかにしながら、ご利用者さんの創作活動を活かすアイデアをご紹介します。

この記事は

・作品と商品の違いを知りたい生活支援員さん

・創作活動について理解を深めたい職員さん

・作品の活かし方のアイデアがほしい人

におすすめです。

生活介護事業所だけでなく、創作活動がある施設の皆さんに役立つ情報を書いていきますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

商品と作品の違い

まずはそれぞれの意味について、オンライン辞書でしらべてみました。Weblio国語辞典から検索結果を引用させて頂きます

さく-ひん【作品】

読み方:作品

製作したもの。特に、芸術活動による製作物。「文芸ー」「工芸ー」

引用:Weblio国語辞典

しょう‐ひん〔シヤウ‐〕【商品】

読み方:しょうひん

売るための品物。販売を目的とする財およびサービス。「―を陳列する」「目玉―」「キャラクター―」

作品⇒芸術性のある製作物

商品⇒販売目的の品物

意味としてはこのような違いがあります。さらに細かく解説していきます。

大量生産が可能か

商品は、「販売目的の品物」であるため、安定的な供給が求められます。商品の売れる数だけでなく、仕入れや生産手順を効率化して、コストダウンを図るなど、「売上を伸ばすこと」が1つの目標となります。

対して作品は、「芸術性のある製作物」であるため、大量生産を前提とはしていません。時間や手間を注ぎ込んで高い完成度を求めたり、その瞬間しかできない偶然性を形にするなど、「芸術的な価値を高める」ことが1つの目標となります。

何のために作るのか

商品は「お客さんに買ってもらうため」、作品は「自分自身のメッセージを表現するため」という違いがあります。

商品は「売りたい人(ターゲット)を明確にする」のに対し、作品は「それに込めるメッセージを明確にする」というのも異なる点と言えます。

ご利用者さんの創作活動

ご利用者さんの日中活動として、創作活動を取り入れている施設がたくさんあります。

「芸術活動」としての意味合いだけでなく、手指を動かすためのちぎり絵など、「リハビリテーションとしての側面」があったり、「自立課題」の要素があるなど、実施の目的も様々ではないでしょうか。

私が勤めている生活介護事業所でも、絵画や工芸、音楽(楽曲制作)といった創作活動をしています。「芸術活動」としての意味合いが100%で、リハビリや自立課題の要素がないのが特徴です。

音楽活動に特化していたり、美術の先生を外部講師として招いたり、創作活動は施設の特色が大きく反映される部分の1つです。

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創作物を活かすアイデア3つ

ここからは、仕事での経験を元に、ご利用者さんの創作物を活かすアイデアを3つご紹介します。

注意しておきたいのは、「施設の活動時間や備品を使ったものでも、創作物の権利(著作権)はご利用者さんにある」という事です。ご利用者さん本人(もし判断能力が充分でない場合はご家族さんや後見人さん)の許可がいる場合がありますので、無許可で実施することのないようにお願いします。

展覧会に出品する

障害のある人の作品を集めた作品展などに、ご利用者さんの創作物を展覧会に出品することで、作品をより多くの人に見てもらう機会に繋がります。

展覧会に出品するという目標があれば、「見てもらいたい」という思いがモチベーションになり、日々の創作活動に意欲的になれるかもしれません。

展覧会によっては出品料がかかったり、審査がある場合もあります。また、搬入や搬出の手順に指定がある場合もありますので、事前の情報収集は念入りに行うのがおすすめです。

自分たちで展覧会を企画する

自分たちで発表の機会を作るのも、より多くの人に作品を見てもらえるきっかけになります。

ギャラリーなどを一定期間借りて実施する方法や、施設の玄関など人目に触れやすい場所に「ギャラリースペース」を作るなどの方法があります。

自分たちの施設でギャラリースペースを作る場合は、月替りでテーマを決めたり、アーティストをピックアップしたり、自由な運営ができるのが魅力です。

商品の「原画」として利用する

3つ目は「作品を商品にする」というアイデアです。ご利用者さんの作品を、Tシャツやマグカップ、ポストカードなどの原画として利用させてもらうという方法があります。

「売上の何%を原画製作者に還元する」という仕組みを作れば、商品を作る作業が苦手なご利用者さんにも、自分の力でお金を稼ぐことができるかもしれません。

まとめ

今回は「商品と作品の違い」をテーマに、ご利用者さんの創作活動や、創作物の活かし方について書いてきました。

  • 商品は「売るための品物」、作品は「芸術性のある製作物」
  • 創作活動は施設の特色が出る部分の1つ
  • 著作権は「その作品を作った人」に帰属する

障害のある人に限ったことではありませんが、自分の作品を褒めてもらえると嬉しくなります。作品を褒めてもらえた喜びから、生活にメリハリが生まれ、「もっと色々な世界に触れてみよう」と思うことで、知識や経験が広がっていきます。

そして、それがいつしか「作品を作る喜び」に変わり、その作品が誰かの心を動かす。創作活動には、支援の好循環を作る大きなエネルギーがあると考えています。

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