はじめに
生活介護事業所で、ご利用者さんの日常を支える――
それが生活支援員の仕事です。
「大変そうだよね」と言われることはあっても、
実際に【何が】【どう】大変なのか、きちんと伝わる機会は少ないかもしれません。
◆ 周囲に話しても「大変だよね〜」でサラッと流される
◆ 現場のリアルを語れる人が身近にいない
◆ 「大変と感じる自分」が弱いのかと悩む
そんな心細さを、私も15年間支援員をしてきた中で何度も経験しました。
この記事では、「やりがい」という言葉に逃げず、支援員のリアルをお伝えします。
この記事はこんな方におすすめです。
- これから生活支援員を目指す人
- 就職/転職活動中の人
- 現役の生活支援員さん
少しでも、あなたの心の支えになれたら嬉しいです。
予想外の行動に翻弄される日々

生活介護事業所では、障害の種別に関係なく、
本当に予想外の出来事が次々と起こります。
- さっきまで笑顔だった人が、突然怒り出し周囲のものを壊してしまう
- 走り出して掃除機のコードに噛み付いてしまう
- 伝えたはずの内容が全く違って伝わり、家族からクレームの電話
「えっ、なんで!?」と思わず声が出てしまうことも、日常茶飯事です。
行動学的な分析で予測できる部分もありますが、完璧ではありません。
支援員は常に「何が起きるかわからない」という緊張感を抱えながら働いています。
自分の「常識」が通用しない世界

支援員に必要なのは、柔軟な発想です。
たとえば――
汗ばむ陽気の日に厚着をしているご利用者さんがいたとします。
「暑かったら脱ぐはず」と思い込んでしまうと、
支援の本質を見失ってしまいます。
実際には、
- 暑いと言えない
- 暑さ寒さの感覚がわかりにくい
- 決まった服を着ないと不安になる
- 「暑い」→「脱ぐ」がつながらない
- 服の脱ぎ方がわからない
…そんな背景が隠れているかもしれないのです。
「言葉にならない言葉」に耳を傾けること。
それが、最も大切でもあり、最も大変でもあります。
職員同士の「介護観」のズレに悩む

同じ職場の支援員同士でも、考え方が違えばぶつかることもあります。
- ご利用者さんの要望に先回りして応えるタイプ
- ご利用者さんの要望が出るまでじっと待つタイプ
接し方の違いが、積み重なると大きな溝になることも。
基本的には「個別支援計画」に沿って支援しますが、
小さなズレが生まれるたび、モヤモヤが心に溜まってしまうのです。
ご利用者さんの気持ちとルールの板挟み

生活介護事業所は、ある程度の集団生活の場です。
たとえば――
待つことが苦手なご利用者さんにとって、送迎の待ち時間は苦痛です。
だけど、送迎時間は全体のスケジュールで動いているため、
「一人のために時間を変える」ことはできません。
◆ 個人の気持ちを尊重したい
◆ ルールも守らないといけない
その間で板挟みになるのは、本当に心がつらくなる瞬間です。
人手不足がもたらす「負の連鎖」

人手不足の現場では、こうした連鎖が起きがちです。
- 手が足りない→目の前の支援で精一杯→施設環境が荒れる
- 荒れた環境→職員もご利用者さんも不安定になる
- 不安定さ→さらに支援が必要になる
- さらなる支援が必要→人手が足りない…
「どうにかしなきゃ」と思っても、現実は簡単に変えられない。
そんな無力感に押しつぶされそうになることもありました。
だからこそ、小さな息抜きの時間を大事にしてほしいと思っています。
腰を痛めると復帰が難しい現実

支援員の仕事は、
- 見守り、支援の組み立て、行動予測(頭を使う)
- トイレ介助、移乗介助、入浴介助(体を使う)
この両方が求められます。
特に、身体介助では腰に大きな負担がかかります。
一度腰を痛めてしまうと、完全復帰が難しくなり、
「もう前のように支援できないかもしれない」と悩む支援員も少なくありません。
まとめ
今回は、生活介護事業所の生活支援員として働く中で感じる、
リアルな「大変さ」をお伝えしました。
- 予想外の出来事への対応
- 職員同士の価値観の違い
- ご利用者さんとルールの板挟み
- 人手不足による悪循環
- 腰への負担と身体のリスク
…挙げればキリがありません。
それでも、私が支援員を続けている理由。
それは――
- 誰かの『できた!』に出会える喜び
- 気持ちが通じた瞬間の小さな感動
- 「どうしたら伝わるかな?」と工夫する楽しさ
そんな瞬間が、この仕事に私自身が働く意味を与えてくれるからです。
心がつかれた時は、無理にがんばらないでください。
「大変だよね」って、ちゃんと共感してくれる人、ここにもいますから。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
どうか、あなたの支援の力になれますように。
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