私は今、ABAについて学びを深めています。
決して専門家ではありませんが、
現場歴15年の現役生活支援員の視点から、
徹底的に噛み砕いて解説しています。
生活介護の現場で働いていると、
「なぜこの行動をするのだろう?」
と疑問に思うことはありませんか?
そこで役立つのが、
「行動の4つの機能」という考え方です。
この記事では、ABA(応用行動分析)の知識がまったくない方でもイメージできるように、できるだけ簡単に説明していきます。
この記事を読むと
・行動の4つの機能について大まかにわかります。
・「この行動」=「この機能」というわけではないことがわかります。
・ご利用者さんの行動について考える幅が広がるかもしれません。
そもそも「行動の機能」って何?
私は、率直に「機能」という言葉が難しいな、
と感じました。
ここでいう「機能」とは、簡単に言えば、
「その行動をすることで、本人にとって何が起きているのか?」
ということです。
最初は難しく考えず、
「その行動によって、何を得ているのか?」
「その行動によって、何を避けているのか?」
くらいにシンプルで大丈夫だと思います。
行動の4つの機能とは?
一般的に、行動の機能は次の4つに整理されます。
- 注目を得る(注目)
- 物や活動などを得る(要求・獲得)
- 嫌なこと・苦手なことから逃れる(逃避・回避)
- 感覚的な刺激を得る(感覚)
ここからは、私が実際に関わっているご利用者さんの行動をもとに、
ひとつずつ現場の場面をイメージしながら見ていきましょう。
※あくまでも、学びを深めている途中なので、
絶対の正解ではないことをご了承のうえお読み下さい。
①「注目を得たい」場合【注目】
まずは、人からの注目や関わりを得るための行動です。
Aさんは、発話がありませんが、
「あー」と声を出すことができます。
日本地図のパズルが日課で、
普段は、軽度の見守りで活動していますが、
支援者が離席すると、「あー!」と声を出します。
その声は、支援者が反応するまで次第に大きくなり、
支援者が戻ってくると収まります。
Aさん目線では、
「職員に声をかける→職員が自分を見てくれる・話をしてくれる」
という経験が積み重なっているのかもしれません。
つまり、「(支援者に)注目してもらいたい」
という機能がある可能性があります。
もちろん、本当にそうなのかは、
その場面だけでは判断できませんが、
少なくとも、Aさんは支援者に対して、
反応しているのではないかと考えられます。
②「物や活動などを得たい」場合【要求・獲得】
次は、欲しいものや、やりたい活動を得るための行動です。
Bさんは、発話はありませんが、
ひらがなと数字をある程度読むことができます。
待つことに苦手感があり、
食事の配膳を待っている時に、
大きな声を出してしまうことがあります。
声を出す状況は、配膳が終了することで収まります。
これも断定はできませんが、
「大きな声を出す→配膳される」
という経験が蓄積している可能性があります。
少なくともBさんは、”配膳”という行為に対して、
反応しているのではないかと考えられます。
③「嫌なこと・苦手なことから逃れたい」場合【逃避・回避】
次は、苦手なことや、やりたくないことから逃れるための行動です。
Cさんは、1〜2語文でやり取りし、
欲しいものなどを文字で書くことができます。
特定のご利用者さんに対して関心が強く、
そのご利用者さんが近くを通ったり、声が聞こえると、
大きな声を出してしまうことがあります。
大きな声を出してしまう状況は、その後利用者さんが離れるか、
Cさん自身が離れることで収まります。
Cさん目線では、
「声を出す→その後利用者さんが離れる・自分がその場を離れられる」
という経験が積み重なっているのかもしれません。
つまり、「特定の人と一緒にいる状況から逃れたい」
という機能がある可能性があります。
もちろん、このケースについても本当にそうなのかは、
その場面だけでは判断できませんが、
少なくとも、Cさんは特定の人物と同一空間にいることに対して、
反応しているのではないかと考えられます。
④「感覚的な刺激を得たい」場合【感覚】
これは、私自身が、
理解することに難しさを感じた内容で、
その行動そのものによって、
本人が何らかの感覚的な刺激を得ている
というものです。
Dさんは、発話はありませんが、
指さしなどで大まかに意思を汲み取ることができます。
周囲に人がいない状況で、何も活動をしていない時、
頬骨のあたりを、音がするほど叩いてしまいます。
顔を叩いてしまう行動は、支援者が声をかけるか、
Dさん自身がトイレなどに行くまで続きます。
これに関しても断定できませんが、
Dさんは顔を叩く行動で得られる感覚
(手に伝わる感覚、痛みなど)を得ていると考えられます。
4つの機能を表にするとこうなる
ここまでの話を、いったん整理します。
| 行動の機能 | ざっくり言うと |
|---|---|
| 注目 | 関わってほしい・かまってほしい |
| 獲得・要求 | 欲しいもの・やりたいことを得たい |
| 回避・逃避 | 嫌なこと・苦手なことから離れたい |
| 感覚 | 感覚的な刺激を得たい |
機能の重複もある
私が学んだ中でわかったことは、
1つの行動で、複数の機能がある場合もあります。
例えば、④の事例で挙げたDさんですが、
感覚の機能の他に、「誰かに来てほしい」という、
要求の機能が含まれているかもしれません。
大切なのは、行動の機能を断定することではなく、
「その行動の背景を知ること」だと考えています。
「この行動=この機能」と決めつけない
私自身にも言えることなんですが、
つい「一問一答形式」で覚えようとしてしまいがちです。
「大きな声を出す=注目」
「物を投げる=逃避」
のように、この行動だからこの機能、
と決まるわけではありません。
行動の機能を知るためには、
「何があって、その行動が起き、その結果どうなったか」という、
行動の前後を見ることです。
現場では、情報の「収集と共有」
突然ですが、私たち生活支援員の強みは何でしょうか?
それは、現場の第一線でご利用者さんに向き合っていること、
だと考えています。
ABAを学ぶ、学ばないに関わらず、
私たちは日々ご利用者さんと接しています。
日常のふとした違和感に気づいたり、
関わりが深くなることで生まれる反応であったり、
私たちは、ご利用者さんの行動の前後を、
最も身近で見ている人の1人なんです。
私の事例
Eさんは、発話があり、
本人が理解できる範囲であれば、
言葉でのやり取りが可能です。
Eさんは、突発的に自分のものを投げてしまう事がありました。
発生するタイミングや、場所、
その場にいる人などもバラバラで、
一見すると発生パターンに法則性がないように感じられました。
そんなある日、支援員の1人が、
「物を投げる前に、歌を口ずさんでいる」
と話してくれました。
これがきっかけとなり、
「Eさんが歌を口ずさみ始めたら、不調のサインかも知れない」
という見立てができました。
現在は、Eさんが歌い始めると、
近くにいる職員がそれとなく話しかけ、
気持ちを切り替える支援ができるようになりました。
書籍と実践の両輪で学びを深めたい
私は今、書籍を中心にABAについて学び、
現場での実践に落とし込んでいます。
その際、「書籍通りに進めることが正解」と思わず、
「ご利用者さんの数だけ正解がある」と思って対応しています。
もし、私が学びを深めている書籍に興味がある方は、こちらの記事で詳しく紹介しています👇️
まとめ|行動の4つの機能は「その人を理解するための入口」
行動の4つの機能は、
- 注目を得る
- 物や活動などを得る
- 嫌なこと・苦手なことから逃れる
- 感覚的な刺激を得る
という4つの視点から、
行動の背景を考えるものです。
大切なのは、
「この行動はどの機能だろう?」と、
正解を当てることではありません。
「この行動には意味があるのかもしれない」と、
一歩立ち止まって考えてみることです。
ご利用者さんに間近で接している、
私たち生活支援員だからこそ、
「行動の”前”と”後”」を見る視点が必要なのかもしれません。
ABAそのものについては、こちらの記事で詳しく解説しています👇️




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