これは、つい最近の私の失敗談です。
創作活動で、絵を見てほしいと言われたご利用者さんに、
「ここはこうすると、もっと良くなると思います」と伝えたら、
相手との距離ができてしまったという経験があります。
皆さんにも、よかれと思って伝えたことが、
かえってご利用者さんの気持ちを遠ざけてしまった経験はありませんか?
そんな中で意識するようになったのが、
「私はこう思います」という伝え方です。
一見すると小さな違いですが、
この一言を添えるだけで、相手の受け取り方が大きく変わることがあります。
今回は、支援の現場で役立つ「押しつけない伝え方のコツ」として、
“私は”を使った関わり方についてお話ししていきます。
【📌ご利用者さんの悩みの言語化が得意な私のプロフィールはこちら】
■この記事を読むと
・「伝えたのに伝わらない」理由がわかります
・押しつけにならない伝え方のコツがわかります
・相手との関係性を大切にした関わり方が身につきます
■なぜ「伝えているのに伝わらない」のか
支援の現場では、”一般論としての正しいこと”を伝える場面が多くあります。
例えば、「手を洗うのが面倒くさい」と言われるご利用者さんに、
外出後の手洗いを勧めるシーンを思い浮かべてみて下さい。
例えば、
「そんな事言わずに手を洗いましょう」
「このままでは、衛生的に良くないですよ」
と伝えたとき、内容は正しいかもしれませんが、
相手にとっては、「否定された」「命令された」と感じてしまうこともあります。
もし、伝える言葉をわかりやすく言い換える事ができれば上手くいくのに。という悩みをお持ちでしたら、こちらの記事が参考になるかもしれません👇️
■「私はこう思います」が持つ意味
私は一時期、「それじゃあ、何も伝えられないじゃないか」と悩んでいました。
ですがある時、私よりもベテランの支援員さんにアドバイスを貰って、
考え方がガラッと変わりました。
それが、「私はこう思います」という伝え方です。
この考え方は、心理学でいう「アイ・メッセージ」に良く似ています。
この記事では、現場レベルでの考え方をお伝えしますが、より深く知りたい人のために、私が読んで参考になった記事のリンクをご用意しています👇️
👉️アイメッセージとは?意味と使い方,ユーメッセージとの違い(ダイコミュ)
✔ 何が変わるのか
一見すると、何の効果もないように感じるかも知れませんが、
この一言を加えるだけで、
「〜すべきです(一般論)」や「あなたは〜です(決めつけ)」ではなく、
「あくまで私個人の視点ではこう見えています」という視点が明確になります。
✔ 具体的な違い
先程の手洗いに関する声かけを例にして見ていきましょう。
❌「面倒くさがらずに手を洗いましょう」
👉 指示・命令に聞こえる
⭕「私は手を洗うと、すっきりすると思います」
👉 一つの視点として伝わる
相手が“選べる状態”になるのが、大きな違いです。
ただし、人によっては「結局何が言いたいのかわからない」という状況になることもありますので、万能の方法ではないことに留意が必要です。
■リフレーミングとの相性がいい理由
これは、私自身が特に大切にしている考え方なのですが、
「めざせ!福祉マスター」では、”リフレーミング”という言葉がよく登場します。
リフレーミングとは、考えを変えるのではなく、見方を増やすことが本質です。
こちらの記事では、「ポジティブシンキングと何が違うの?」という視点で、リフレーミングについて深堀りしています👇️
先程の手洗いを例にして考えてみましょう。
❌「面倒くさがらずに、手を洗いましょう」
👉 指示・命令に聞こえる
⭕「私は手を洗うと、すっきりすると思います」
👉 一つの視点として伝わる
これは、「手を洗わないと衛生的に問題がある」ではなく、
「きれいになったら、すっきりできる」という枠組みで捉え直しているとも言えます。
■私の実践例
■例①:活動に参加したくない場面
ご利用者さんが活動に参加したがらないとき、
❌「やった方がいいですよ」
👉 押しつけになる
⭕「私は、体調が悪くないのなら、参加してみるのも良いかなと思います」
👉 判断はご利用者さんにお任せする
生活支援員自身が、絶対に参加してもらわなければ、と思い込みすぎないことが大切です。
■例②:不安が強い場面
「失敗したらどうしよう」と不安になっているとき、
❌「大丈夫ですよ、考えすぎです」
👉 根拠がなく響かない
⭕「私は、何かお手伝いできることはないかな、と思っています」
👉 不安を否定せず、別の視点を提示
■注意したい場面
「私はこう思います」は便利な伝え方ですが、
どんな場面でも使えるわけではありません。
■① 緊急性が高いとき
- すぐに止めないと、本人にも周囲にも危険が及ぶ
- 強制的に介入せざるを得ないほど、激昂されている
👉 この場合は、はっきり伝えること、あるいは何も伝えないことが求められます
■② 明確な仕組みの提示が必要なとき
- 作業手順
- 安全面のルール
👉 あいまいにせず、「〇〇という決まりです」とはっきり伝える
使用の判断はケースバイケースですが、
「相手の感情が比較的穏やかな時以外」は、
逆効果になると考えたほうが安心かもしれません。
■まとめ:「正しさ」より「関わり方」
支援の現場では、「何を伝えるか」だけでなく、
「どう伝えるか」がとても大切です。
「私はこう思います」という一言は、
- 相手を尊重する
- 押しつけを防ぐ
- 関係性を守る
ためのシンプルで強い方法です。
リフレーミングと同じように、
相手の考えを変えるのではなく、選択肢を増やすという視点を大切にしながら、
日々の関わりに取り入れてみてください。
「どう伝えたらいいかわからない」という悩みは、
それだけ相手のことを大切に考えている証拠です。
正しさを届けることも大切ですが、
それ以上に、関わり方を大切にすることが、
支援の土台になるのだと思います。
この記事が、あなたの関わりに少しの余裕を生むきっかけになれば嬉しいです。
【生活支援員のための伝え方・言葉選び】の記事をもっと読みたい人は、まとめページから記事一覧をご覧ください。
【生活支援員の便利帳】では、見通し支援や車いす支援など、生活支援員に必要なスキルを、「全記事・私の経験ベース」で書いています。
勤続15年、生活介護事業所で働く現役の生活支援員です。ケアマネージャー、介護福祉士、小学校の教員免許などを持っています。
ご利用者さんの悩みを言語化したり、わかりやすい言い換えに自身があり、ご利用者さんからは「説明がわかりやすい」「例え話が上手」という評価を頂いています。
ABA(応用行動分析学)をベースにしたアプローチが得意で、「どのように環境を整えていくか」を入口に支援を組み立てています。ABAについては、こちらのサイトが非常にわかりやすいのでおすすめです👇️








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