「リフレーミングって、どんなケースにでも使えるんだろうか」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
私自身、リフレーミングの考え方を大事にしていますが、
正直に言うと、リフレーミングは“使えばうまくいく技術”ではありません。
むしろ、「うまくいかなかった」、「かえって相手の反応が悪くなった」、
そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
私自身も、前向きな捉え方で声をかけたことで、
ご利用者さんの表情を曇らせてしまった経験があります。
リフレーミングは、支援の幅を広げてくれる考え方ですが、
だからこそ、使いどころを見極める必要があるスキルだと考えています。
この記事では、生活支援員歴15年の私が、現場で得た経験をフル活用して、
- リフレーミングが「使える場面」
- リフレーミングを「使わないほうがいい場面」
を整理しながら、
現場で迷わないための考え方をやさしく解説していきます。
【📌ご利用者さんの悩みの言語化が得意な私のプロフィールはこちら】
■この記事を読むと
・リフレーミングがうまくいかない理由がわかります
・使う/使わないの判断基準がわかります
・現場での関わり方に余裕が生まれます
■リフレーミングは「万能」ではない
リフレーミングとは、物事の見方や捉え方を変えることで、別な考え方ができるようになる、という心理学の手法です。
教育やビジネスの現場でも幅広く使われており、
ネガティブな出来事に対しても、別の視点から意味づけをすることで、
前向きに捉えたり、新しいアイデアが浮かぶきっかけになります。
「ポジティブシンキングとどう違うの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。こちらの記事では、リフレーミングとポジティブシンキングの違いを、現場目線で解説しています👇️
ですが、どんな場面でも使えるわけではありません。
むしろ現場では、良くも悪くも、
相手の考え方そのものにアプローチすることになるため、
- タイミング
- 相手の状態
- 関係性
によって、使うかどうかを判断する必要があります。
■使わないほうがいい場面(ここが大切)
ここからは、私の現場経験をベースに、
特に重要なリフレーミングを使わないほうがいい場面を見ていきましょう。
■① 感情が高ぶっているとき
リフレーミングは“落ち着いたあと”でも遅くありません
- 怒っている
- 自分でもコントロールが効かなくなっている
- とても落ち込んでいる
このような状態のときに、
「こういう見方もありますよ」と伝えても、
相手はそれを受け止める余裕がありません。
忘れ物をして、大きく取り乱してしまっているご利用者さんに、
❌ NG例
「誰にでもあることですよ」
👉 余計に落ち込んでしまうかもしれません
✔ 大切な関わり(声をかけて良いタイミングなら)
「今、とても混乱して、つらい状況なんですね」
👉 まずは気持ちを受け止める
■② 相手が求めていないとき
リフレーミングは、
相手が“見方を変えたい”と思っているときにこそ、効果を発揮します。
つまり、”ただ話を聞いてほしい”、”共感してほしい”という状態のときに、
「別の見方」を提示すると、話を否定されたように感じてしまうことがあります。
「昔は10分以上歩けていたのに、今では5分程しか歩けなくなった」と話してくれたご利用者さんに、
❌ NG例
「運動メニューを見直す良いきっかけかもしれませんね」
👉 現在の衰えを再認識し、惨めな気持ちにさせてしまうかもしれません。
✔ 大切な関わり(話を全部聞いてから)
「運動について、少し考える時間を作ることもできますが、いかがですか?」
👉 求められているのは“共感”か“提案”かを見極める
■③ 信頼関係が十分でないとき
リフレーミングは、ご利用者さんの考えとは全く別の視点を提案することもあります。
そのため、関係性ができていない段階でのリフレーミングは、
「わかってもらえていない」と受け取られてしまうこともあります。
特に、初対面だったり、「過去に否定された経験がある」という場合は注意が必要です。
これは私自身の経験なのですが。
私と、あるご利用者さんの関わり方を、後輩がそのまま真似してしまい、後輩とご利用者さんの関係が悪くなってしまったことがあります。
”関係性”そのものは目に見えないため、一般的な基準をお伝えすることができませんが、
「〇〇支援員がやっているから、同じ方法で大丈夫」というわけにはいきません。
「私はこう思います」という、自分を主語にした関わりをしていく中で、少しずつリフレーミングの視点をお伝えしていくことも、相手を尊重することになると思っています。
■④ 支援員の都合になっているとき
リフレーミングの主人公はご利用者さん(相手)です。
ですが、私たちは無意識のうちに、
・落ち着いてほしい
・納得してほしい
・行動してほしい
という思いからリフレーミングを使ってしまうことがあります。
トイレ介助が必要なご利用者さんに、トイレにいくかどうか確認する時、
❌ NG例
「後からだと混雑するかもしれないから、今行きませんか?」
👉 今行ってくれたほうが都合がいいので、”混んだら困る”を理由にしてしまっている。
✔ 大切な関わり
「トイレに行きますか?」
👉 「今、誰のために伝えようとしているか」が大事です。
■使いやすい場面(補足)
ここまで“使わない場面”を見てきましたが、
逆にリフレーミングが活きやすい場面もあります。
■① 気持ちが落ち着いているとき
ご利用者さん自身が、話を整理できる状況であれば、
「別な視点」の提案がきっかけで、気持ちが整理できることもあります。
あくまでも、その受け止め方をするかどうかはご利用者さんにお任せする、というスタンスを守って話をするようにしています。
■② 振り返りの場面
これは、現場で働いていて痛感していることなんですが、
どうしても、ご利用者さん自身の経験が少なくなってしまいがちです。
個別支援計画や、サービス等利用計画の中間評価(モニタリング)で、ご利用者さん自身に振り返りをしてもらう機会もあります。
そんな時、単純な「できたか、できなかったか」だけではなく、「〇〇の視点でどう感じたか」など、ご利用者さんの振り返りをサポートすることができます。
■③ 本人が悩んでいるとき
「どうしたらいいかわからない」と感じているときには、
“見方を増やすこと”が支えになるかもしれません。
余計に混乱してしまうこともあるかもしれないので、
「私はこう思います」という話し方をするようにしています。
「正しいことを押し付けるような言い方になってしまう」という悩みはありませんか?
そんなあなたのために、”押し付けない伝え方のコツ”について書いた記事をご用意しています👇️
■迷ったときのシンプルな判断基準
現場で迷ったときは、
次のように考えてみてください。
今、この人は“受け止めてほしい状態”か?
それとも“考えたい状態”か?
- 受け止めてほしい → リフレーミングはしない
- 考えたい → リフレーミングを検討する
👉 この視点だけでも、関わりは大きく変わります。
そんな見極め、できない。そう思われるかもしれません。
これも万能な方法ではないんですが、私の場合は、
「別な見方や考え方を、お伝えしてもいいですか?」と、
ご利用者さん自身に聞くようにしています。
■まとめ:「使う」より「見極める」
リフレーミングは、支援の幅を広げてくれる大切な考え方です。
ですが本当に大切なのは、
“使うタイミングを知ること”ではなく、
“使わないタイミングを見極めること”
- 気持ちを尊重する
- タイミングを待つ
- ”相手が決める”と考える
この3つを意識することで、
リフレーミングは初めて“支援として機能する”と感じています。
「どう関わればいいかわからない」と悩むことをリフレーミングすると、
それだけ相手のことを大切に考えている証拠です。
リフレーミングも含めて、すべての関わり方は“選択肢のひとつ”。
だからこそ、使う・使わない、どちらも大切な支援だと思います。
この記事が、あなたの関わりに少しの余裕を生むきっかけになれば嬉しいです。





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