ケース記録の書き方は理解していても、
・実際の場面でどう書けばいいかわからない
・自分の書き方で合っているか不安になる
そんな悩みはありませんか?
実際の現場では、
「ご利用者さんごとに状況が違う」からこそ、
“様式を知るだけでは書けない”難しさがあります。
この記事では、生活支援員歴15年の私の経験をもとに、
「このケースはこう書く」をテーマにして、
そのまま参考にできる具体例を3つ紹介します。
この記事を読むと
・場面別のケース記録の書きかたがわかり、実務に応用できます。
・NG例と改善例の違いがわかり、振り返りに活かせます。
・現場で再現できる記録のアイデアについて知ることができます。
【ケース①】移動時の転倒リスク
【背景】
通所時に、玄関から自席に移動しようとした際、
他のご利用者さんとぶつかりそうになってしまった。
独歩は可能だが、ふらつきがあるため、
移動時は見守りを実施。
■NG例(主観的・あいまい)
朝、Aさんが移動中に走ってきた人とぶつかりそうになり、驚いて転びそうになった。慌てて支えたので転ばなくてよかった。本人はびっくりしていたが、その後は落ち着いたので安心した。
■問題点
・「慌てて」「よかった」「安心した」など支援員の主観が多い
・どんな状況で、どのように対応したのかが不明確
・時間の流れが伝わりにくい(経過対応なのか、その場で完結したのか)
■改善例
【きっかけ】
10:00。玄関から自席へ移動中、走ってきたBさんと接触しそうになる場面あり。
その際、驚いた様子でバランスを崩され、転倒の危険が見られたため、支援員が即座に身体を支えた。
※「Bさん」の部分は「他の利用者さん」などと表記する場合もあります。具体性とプライバシーのバランスについては、施設ごとのルールを確認して下さい。
【対応】
本人より「びっくりした」との発言あり。
表情に緊張が見られたため、安心できるよう声かけを行いながら、通常より近い距離で付き添い自席まで誘導した。
その後は自席にて約1時間、状態の変化について経過観察を行った。
【結果】
約1時間後には表情も落ち着き、会話も通常通りに戻る。
外傷は認められず、ふらつきの悪化も見られなかったため、通常通り活動を再開された。
【ケース②】昼食時の食欲低下
【背景】
昼食時。普段は、配膳と下膳のサポートのみで、食事は最初から最後までひとりで摂ることができる。スプーンを使用。
メニューによっては、「最後の一口(集めて口に運ぶ)」を手伝うことがあるので、介助をされることには慣れている。
■NG例
昼食時、あまり食べられず、やる気がない様子だった。介助して半分くらいは食べたが、残してしまった。
■問題点
・「やる気がない」という主観的表現
・食欲不振の原因が曖昧(分析・考察も含めて)
・体調や様子の情報が不足
■改善例
【きっかけ】
昼食時、配膳後も食事が進まず、手が止まる様子が見られた。
様子を伺う声かけをしたところ「手伝ってほしい」と話された。
【対応】
体調不良の可能性を感じたため、看護師に状況を報告。
発熱等はなかったため、一口ずつ確認しながら食事介助を実施。
【結果】
主食・副食ともに約半量を摂取。
午後からは、体調不良を訴える様子は見られなかった。
※「手伝ってほしい」という真意は未確認。
【ケース③】急な発熱による対応
【背景】
車いすを利用している。通所時の検温では平熱で、午前中はスケジュール通りに活動していた。
食事の様子も普段と変わらないように見えたが、食後の様子に違和感を感じた。
■NG例
午後からしんどそうにしていたので、検温した。
熱があったので、別室で休んでもらい、保護者に連絡して迎えに来てもらった。
■問題点
・「しんどそう」など曖昧な表現
・数値や時間経過が不明
・対応の根拠が見えにくい
■改善例
【きっかけ】
12:45頃。頬に赤みがあり、目が虚ろになっている状況を確認。
検温したところ、37.8℃の発熱を確認。
【対応】
本人から「横になりたい」という訴えがあったため、静養室のベッドにて静養。
30分後の検温で38.5℃。寒気と倦怠感の訴えが続いたため、保護者へ連絡し迎えを依頼。
【結果】
14:20。保護者到着後、状況を引き継ぎ帰宅。
帰宅時も発熱および倦怠感の訴えあり、引き続き自宅での経過観察をお願いした。
※通院は翌日、と連絡あり。
【共通ポイント】迷ったときの考え方
どのケースにも共通しているのは、この3つです。
・主観ではなく事実で書く
・支援内容(対応)を明確にする
・結果や変化まで記録する
「何を書けばいいかわからない」と感じたときは、
”何が起きて、どう対応して、どう変わったか”
この流れに当てはめるだけで、記録はぐっと書きやすくなります。
■まとめ
ケース記録は、「その人の状態」と「支援の内容」を、
チームで共有するための大切な情報です。
そのためには、感情ではなく事実を言葉にすること、
そして、支援の意図や経過を丁寧に残すことが重要になります。
最初から完璧に書こうとしなくて大丈夫です。
まずは今回のような具体例を参考にしながら、
「このケースならこう書く」を少しずつ積み重ねていきましょう。
👉あわせて読みたい
- 生活支援員のケース記録(介護記録)の書き方と例文|3つのコツ
- 生活支援員の記録を早くするコツ|思い出す時間を減らすポケット付箋術
- ケース記録のNGワードと言い換え例|生活支援員のための書き方改善ガイド
- 生活支援員の書類の書き方|「できない」を「できる」に変える伝わる文章術
【生活支援員のための「伝わる書類・文章術」】の記事は、まとめページからもご覧いただけます
【生活支援員の便利帳】では、伝え方や記録の書き方など、生活支援員に必要なスキルを、「全記事・私の経験ベース」で書いています。
勤続15年、生活介護事業所で働く現役の生活支援員です。ケアマネージャー、介護福祉士、小学校の教員免許などを持っています。
ご利用者さんの悩みを言語化したり、わかりやすい言い換えに自身があり、ご利用者さんからは「説明がわかりやすい」「(個別支援計画の)言葉が丁寧」という評価を頂いています。
ABA(応用行動分析学)をベースにしたアプローチが得意で、「どのように環境を整えていくか」を入口に支援を組み立てています。ABAについては、こちらのサイトが非常にわかりやすいのでおすすめです👇️





コメント