「伝わらない」の前に。生活支援員が考えたい“前提を揃える”という視点

生活支援員のための”関わり方”
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現場で支援をしていると、
「ちゃんと伝えたはずなのに、噛み合っていない?」
と感じることはありませんか。

こちらとしては丁寧に聞いたつもりでも、
返ってきた答えと実際の様子に違和感がある。

今回は現役生活支援員である私が、現役15年の経験から、
「前提を揃える」という視点について考えてみたいと思います。


この記事を読むと

・前提を揃えることの大切さについて知ることができます
・支援のズレの原因について、考えるきっかけになります
・双方向のやり取りの大切さについて知ることができます


「暑くないですか?」に対して「大丈夫」と返ってきたけれど

これは、私が実際に経験したケースです。

あるご利用者さんに対して、
「暑くないですか?」と声をかけると、
「大丈夫です」と返答がありました。

ところが実際には汗をかいていて、
明らかに暑そうな様子がありました。

最初は、
「遠慮しているのかな?」
「我慢しているのかな?」
と考えました。

しかし、よく状況を確認していくと、
少し違う背景が見えてきました。

今度は「エアコンを付けますか?」と聞くと、
「つけて下さい」と返答がありました。

つまり、
「暑いかどうか聞かれたから、”大丈夫”答えた」ご利用者さんと、
「暑ければエアコンをつけますよ」という私の声かけの意図、
それぞれの前提が噛み合っていなかったんです。


「言葉は通じているのに、意味が通じていない」

この経験を通して感じたのは、
言葉がやり取りできていても、意図が通じているとは限らない。

ということです。

「暑いですか?」
「大丈夫です」

というやり取りだけを見ると、
一見コミュニケーションは成立しています。

しかし実際には、

  • 理解に関係なく”大丈夫”と答えてしまう
  • そもそも「暑い」という感覚がわからない
  • 質問の意図が十分に伝わっていない

といったズレが起きていることがあります。


支援のズレは「言葉」ではなく「前提」から生まれる

支援の現場では、
こうした小さなズレは意外と多くあります。

特に私が現場で感じているのが、
「片付けましょう」という声かけです。

機能的には行為が充分可能で、
活動の途中というわけでもないのに、

それでも、
「片付けましょう」では伝わらない時があります。

この時、「〇〇さんは片付けができない」と、
判断するのは早すぎだと感じています。

・その人にとっては、すでに「片付いている」と感じている
⇒整理整頓の前提がズレている
・「片付けましょう」では伝わらないけれど、「しまいましょう」なら伝わる
⇒整理整頓のために使う言葉の前提がズレている

現場では、「聞こえていなかったかな?」
「返事があったのにな?」といった支援のズレの原因が、
ちょっとした違和感の中に潜んでいることがあります。


「伝える」前に「揃える」という視点

支援の中では、
「どう伝えるか」という、
手段が重視されがちです。

もちろんそれも大切です。
生活支援員として、支援の引き出しは多いに越したことはありません。

それと同じくらい大事な視点が、
前提を揃えることです。

例えば今回のようなケースであれば、

  • 最初から「エアコンをつけますか?」と聞く
  • 「片付いた状態」を共有しておく
  • 本人が使っている言葉をメモしておく

といった工夫をすることで、
「相手のフィールドでやり取りする」ことが、
できるようになる可能性があります。


「大丈夫」の裏側にあるもの

「大丈夫です」という返答も、
必ずしも本音ではないかもしれません。

  • 本人は大丈夫と思いこんでしまっている
  • 我慢しているという自覚がない
  • 心配をかけることが悪いと思ってしまう

同じ言葉でも、その意味は一つではありません。

だからこそ、
言葉だけで判断するのではなく、
その背景を少しずつ確認していく必要があります。


おわりに|”あえて確認する”という配慮

今回のような経験から得た教訓なのですが、
「前提は思った以上に揃っていないことがある」
くらいに考えておいたほうが良いのかなと感じています。

決してご利用者さんの理解力を認めていないのではありません。

ですが、時には
「暑い、寒いとは何かわかりますか」
と、言葉にして確認することも大切です。

「どう伝えるか」だけでなく、
「前提は揃っているか?」
という視点を持つことが、
支援の質を少しずつ変えていくのではないでしょうか。


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勤続15年、生活介護事業所で働く現役の生活支援員です。ケアマネージャー、介護福祉士、小学校の教員免許などを持っています。

ご利用者さんの悩みを言語化したり、わかりやすい言い換えに自身があり、ご利用者さんからは「説明がわかりやすい」「(個別支援計画の)言葉が丁寧」という評価を頂いています。

ABA(応用行動分析学)をベースにしたアプローチが得意で、「どのように環境を整えていくか」を入口に支援を組み立てています。ABAについては、こちらのサイトが非常にわかりやすいのでおすすめです👇️

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