
この記事は、現役生活支援員として働く中での「気持ち」を書いた記事です。
支援テクニックではなく、“現場で働く人あるある”に近いかもしれません。
福祉の現場でよく耳にする言葉の1つが、
「寄り添う」ではないでしょうか。
新人の頃の私は、
「とにかく優しく話を聞いて、相手の気持ちに共感すること」が、
”寄り添う”ということだと認識していました。
でも、現場経験を重ねるうちに、
「優しい気持ちだけで接していると、自分が苦しくなる」
「優しく寄り添っていたつもりが、実は相手の自立を妨げていたかもしれない…」
そんな風に感じることが増えてきました。
【📌現場って”思った以上に泥臭い”と痛感している私のプロフィールはこちら】
今日は、ある意味でちょっと冷たく聞こえるかもしれない、
でも現場を生き抜くためにとても大切な、
「寄り添うとは、感情論ではなく対人関係を作ること」
というテーマについて、正直な気持ちを書いてみようと思います。
📌この記事を読むと
- “寄り添う”への考え方を整理できます
- 感情論だけでは苦しくなる理由がわかります
- 支援員としての距離感や関係性について考えられます
“寄り添う”を感情論だけで考えると、燃え尽きやすい
私がスーパーバイザーとしてお世話になっている、他事業所の大先輩から、
「〇〇さんは、私がいないとダメなんです」と笑顔で話す支援者にならないように、と教えられました。
その時はいまいちピンとこなかったのですが、
今ならその言葉の意味が痛いほどわかります。
例えば、ご利用者さんが、過去の辛い経験を涙ながらに話してくれたとします。
一緒に涙を流し、「本当に辛かったですね、私がなんとかしてあげたい!」と心から思う。
これは人間としてとても自然で、温かい感情です。
でも、支援員が「感情論(同情や感情移入)」だけで動いてしまうと、
少し危険な落とし穴にはまります。
- 相手のネガティブな感情に引きずられてしまう(バーンアウト)
- 「私が守ってあげなきゃ」と先回りしてしまい、本人から他の支援者を遠ざけてしまう
- 感情の波に左右されて、日によって対応が変わってしまう
気がつけば、ご利用者さんと生活支援員というより、
「依存と共依存」の関係になってしまう。
これって、お互いにとって幸せな状況とは言い難いですよね。
大切なのは、「双方向」を意識すること
では、冷徹なロボットになればいいのかというと、もちろん違います。
ここで大事なのが、「双方向を意識する」という視点です。
私が考える「寄り添う」とは、お互いが感情的になることではなく、
「一緒にこの場を作っている一人の人間」としてリスペクトすることです。
支援員の価値観だけを押し付けない。
だからと言って、ご利用者さんの要望を、
全て100%叶えることでもない。
お互いの思いや状況を踏まえながら、
「今、この場で、どこなら折り合えるか」を探していく。
その感覚が、現場での“寄り添い”に近い気がしています。
「私の寄り添い、ズレてない?」という自己修正ができる
ご利用者さんに対して、感情論や責任感で一方向の関わりになってしまうと、
「私はこれだけあなたのことを思っているのに」
という気持ちになりやすいかもしれない、と感じることがあります。
「双方向」の関わりを意識できると、
自分のアプローチに対して相手がどう反応したか、
言葉だけでなく、表情、視線、行動の変化などを、
常に観察することができます。
「今の私の言葉、少しプレッシャーだったかな」
「この提案は、今のテンポに合っていないな」
このように、相手からの見えないフィードバックを受け取って、
自分の立ち位置を微調整し続けるプロセスこそが、
本当の意味での「寄り添い」なのだと感じます。
“寄り添う”は、優しさだけでは続かない
もちろん、感情豊かに接することを否定するつもりはありませんし、
優しさは何より大切です。
ですが、優しさだけで支援を続けようとすると、
かつての私のようにどこかで無理が出ます。
なぜなら、現場の支援はどこまで行っても、
“人と人との関係”だからです。
15年かかりましたが、私は、
“寄り添う”は、
感情論ではなく、
「対人関係論」
なのだと考えるようになりました。
まとめ|十人十色の”寄り添う”がある
「私は、本当に寄り添えているのかな…」
そうやって真面目に悩む支援員さんほど、
自分の優しさの量が足りないのではないかと、
自分自身を責めてしまいがちです。
でも私は、
支援が「感情論」ではなく「対人関係論」であるなら、
“正解の寄り添い”は1つではないのだと思っています。
お互いのサインをキャッチし合いながら、
なんとか今日を心地よく過ごせる着地点を探していく。
そのプロセスすべてが、立派な支援であり、寄り添いです。
あなたとご利用者さんの間だけに流れる、
ちょうどいい「双方向」の空気感を、
ぜひ大切に育ててみてくださいね。
こんな記事も読まれています
ご利用者さんへの対応、人間関係、支援の悩み、セルフケア、働き方など、
生活介護の現場経験を記事にしています。
▼同じように悩んだことがある方へ
正論は、時に現場を凍らせる。100点満点の支援より、60点の「まぁいいか」が強いワケ
生活支援員として働いて感じた“理想と現実”|現場で感じる3つの難しさ
生活支援員の仕事に、無理に“やりがい”を見つけなくてもいいと思う理由
生活支援員のコツは“自分の当たり前”を捨てること
生活支援員の”コンディションが良くない時”の仕事の向き合い方
勤続15年、生活介護事業所で働く現役の生活支援員です。ケアマネージャー、介護福祉士、小学校の教員免許などを持っています。
ご利用者さんの悩みを言語化したり、わかりやすい言い換えに自身があり、ご利用者さんからは「説明がわかりやすい」「(個別支援計画の)言葉が丁寧」という評価を頂いています。
ABA(応用行動分析学)をベースにしたアプローチが得意で、「どのように環境を整えていくか」を入口に支援を組み立てています。ABAについては、こちらのサイトが非常にわかりやすいのでおすすめです👇️




コメント