強度行動障害とは?生活支援員が知っておきたい基本的な考え方と対応

強度行動障害を学ぶ
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生活介護の現場では、
「強度行動障害」と言われる状態にある、
ご利用者さんに関わることがあります。

自傷、他害、大声、物を壊してしまうなどの行動が、
通常では考えられない頻度で発生することがあり、
何も知らないと、戸惑ってしまいます。

この記事では、現役生活支援員である私が、
最低限知っておきたい基本的な考え方と対応の軸を、
わかりやすく整理します。

※この記事で扱うのは、あくまでも一例です


この記事を読むと

・強度行動障害の状態について、知ることができます
・「なぜ、その行動が出るのか」という背景を探ることの大切さがわかります
・チーム支援、セルフケアの大切さについて理解することができます


① 強度行動障害とは「状態」であって“障害名”ではない

まず大前提として、強度行動障害は「その人の状態」です。

視覚障害、四肢体幹機能障害、呼吸器障害などの、
「障害名」ではありません。

環境や状況の影響によって、
強い行動が出てしまっている「状態」です。

私が関わっているご利用者さんに、
自分で自分の顔を叩いてしまう人がいます。

一見すると、
「自分で自分の顔を叩く、困った行動をする人」
と感じてしまうかもしれません。

でも実はそうではなく、
「顔を叩くことしか、伝える手段を知らない」
「顔を叩いてまで、何かを伝えたい」
といった背景が隠れていることがほとんどです。

実際に、目の前で顔をガンガンと叩いてしまう状況を前にして、
冷静になれというのも酷な話かもしれませんが、

目の前にいるのは、
自分で自分を叩く「困った人」ではなく、
「困っている人」というふうに捉えることが、
強度行動障害を理解する第一歩だと考えています。


② 行動の背景には「きっかけ」がある

現場で一番大切なのはここです。

「私は専門家じゃないから」
「研修を受けていないから」

と、一歩引いてしまうのではなく、
第一線でご利用者さんと向き合う生活支援員だからこそ、
「ひょっとして」という違和感を大切にしてほしいです。

なぜなら、
強度行動障害の状態にあるご利用者さんの行動の多くは、
突然起きているように見えて、きっかけがあるからです。

これは私が実際に対応した事例ですが、
自分の荷物を投げてしまうご利用者さんがいました。

支援者目線では、「突然」と感じてしまうほど、
なぜ物を投げるのかがわかりませんでした。

ですが、ある時ある支援員が、
「物を投げる前に、歌を歌っている気がする」
という意見を伝えてくれました。

それ以来、そのご利用者さんが歌を歌い始めると、
支援者がさり気なく気持ちを逸らす声かけをしたり、
別室に誘導するなどの対応を取ることができるようになりました。


③ 対応の基本は「事前の環境調整」

強度行動障害の状態にあるご利用者さんの行動には、
大きく分けると「4つの意味」があるといわれています。

①要求:何かを獲得したい
②注目:自分に注意を引きたい
③回避・逃避:嫌なことをしたくない
④感覚:退屈を紛らわせたい、他の痛みを忘れたい、等

これらの意味を把握することが、
ご利用者さんを理解する第一歩です。

そして、
どのように環境を整えれば、
その行動を発生頻度を下げることができるのか、
という視点で考えることが大切です。

これに関しては、本当にケースバイケースです。
”こうすればOK”という万能の方法はありませんが、
「何かを伝えたいのかもしれない」
という視点で、前後の行動や時間帯を観察することが大切です。


④ それでも起きてしまったときの対応

どれだけ工夫しても、
行動問題が起こることはあり得ます。

その場合に大切なのは、
「自分も、ご利用者さんも守ること」です。

決して、自分の身を犠牲にしないでください。

安全の確保が最優先

本人・周囲の安全を守ることを第一にします。

無理に止めようとすると、
職員もご利用者さんも危険になることがあります。

ケースバイケースですが、
「完全に押さえ込む」のではなく、
「最小限の被害に食い止める」
という感覚のほうが近いと思います。

前もって、「最悪の事態を想定した対応」を、
話し合っておくことが大切です。


刺激を減らす

人間誰しも、行動問題を目の前にすると、
「なぜ?」という気持ちが頭をよぎると思います。

ですが、原因をご利用者さんに伝えたところで、
ご本人の状態が即座に改善するわけではありません。

  • 距離をとる
  • 人数を減らす
  • 声かけを最小限にする

こういった、「刺激を減らす工夫」も選択肢の1つです。


落ち着くまで待つ

目の前で、ご利用者さんが取り乱していると、
「今すぐにでも助けなければ!」
と思ってしまうかもしれません。

ですが、経験上、
「感情の高ぶりがピークの時に声を掛ける」
のはNGです。

安全確保が最優先ですが、
「ピークを少し過ぎたあたりでの介入」が、
双方にとって負担が少ないと言われています。

私が感じる”現場のジレンマ”

緊急時にそんなこと言っていられないよ、
と感じてしまうかも知れませんが、
頭に留めておいてほしいことがあります。

例えば、大きな声を出して取り乱しているご利用者さんに、
「静かな場所を提供する」ことで、落ち着いたとします。

この際、ご利用者さん自身が
「大きな声を出して取り乱したら、静かな場所に行ける」
と思い込んでしまう恐れがあることに留意が必要です。


⑤ 「チーム支援」の意味

強度行動障害の状態にあるご利用者さんだけでなく、
原則全てのケースにおいて「チーム支援」が基本だと思っています。

ここでいうチーム支援とは、
「取り乱しているご利用者さんに、職員全員でフルコミットする」
ことではありません。

生活介護事業所は、ある程度の集団生活の場です。

「行動問題が発生しているご利用者さんへの対応」と併せて、
「他のご利用者さんに不安を広げない」ための対応も必要です。

状況に応じて、他のご利用者さんに別室への移動を提案するなどの工夫も大切です。


まとめ:できることを、それぞれに

強度行動障害の状態にあるご利用者さんの支援で大切なのは、
「いかに環境を整えて、不安を減らすか」という視点ではないかと感じています。

強度行動障害の支援は、決して簡単な仕事ではありません。

私自身、「強度行動障害支援者養成講座」の基礎編と実践編を修了しましたが、
”スムーズに支援ができるようになったか”と聞かれると、
決してそんなことはないのが現実です。

ただ、少しずつ環境を整え、
利用者さんの行動問題が減少すると、
現場としての手応えを感じる場面でもあります。

「どう対応するか」だけでなく、
「どうしたら安心して過ごせるか」を支援の土台にしたいなと考えています。

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