「またその話?」と思ったら。生活支援員のための“繰り返し”との向き合い方

生活支援員のための”関わり方”
スポンサーリンク

現場でご利用者さんと関わっていると、
「その話、さっきも聞いたな……」
と感じる場面は少なくありません。

同じエピソードを何度も話されるご利用者さん。
毎日同じ質問を繰り返すご利用者さん。

忙しい時間帯であればあるほど、
「どう対応すればいいんだろう」
「正直、しんどい……」

と悩むこともあるのではないでしょうか。

今回は、現役の生活支援員である私が、
「同じ話を繰り返すご利用者さんとの向き合い方」について、
考えてみたいと思います。


この記事を読むと

・「同じ話を繰り返す」背景が、それぞれ違うことがわかります
・教科書通りの対応が、必ずしも有効ではないことがわかります
・「正直しんどい」と思う自分が、決して間違っていないことがわかります

「またその話だ」と感じるのは自然なこと

まずお伝えしたいのは、
「またその話か……」
と思ってしまう自分を責める必要はない、
ということです。

生活支援員の仕事は、
利用者さんと一対一でじっくり話をすることだけではありません。

活動の準備や片づけ、記録、
他の利用者さんへの対応など、
さまざまな業務を同時進行しています。

そんな中で、同じ話を何度も聞いていると、

「どう返したらいいんだろう」
「今日は余裕がない……」

と感じることもあるでしょう。

大切なのは、その気持ちを否定することではなく、
「なぜ、このご利用者さんは同じ話を繰り返しているのだろう?」
という視点を持つことだと思います。

同じ話を繰り返す背景は、一つではない

一見すると同じように見える行動でも、その背景は人によって異なります。

① 話したこと自体を忘れている

記憶の保持が難しい場合、本人にとっては「初めて話している」感覚であることがあります。

私が関わっているご利用者さんに、
「昨日の晩御飯を聞いて周り、自分の食べたメニューを伝える」
という行動をする人がいます。

ただ、「今日は誰に聞いたか」を覚えていることが難しいらしく、
結果的に同じ話を何度も繰り返すことになってしまうパターンです。

② 話題のレパートリーが少ない

ご利用者さんの障害特性によっては、
経験の幅や興味の範囲が、極端に狭い場合があります。

私の職場にも、
「毎日、”今週の天気”を伝えてくれる」
というご利用者さんがいました。

よくも悪くも、生活のパターンが固定されていて、
他の情報にアクセスする手段が限定的だったんだと思います。

本人なりのコミュニケーションの方法として、
同じ話題を選んでいるのかもしれません。

③ 同じリアクションを求めている

特定の物や行動に強い思い入れのあるタイプのご利用者さんがいます。
(専門用語になってしまいますが、”ASDのあるご利用者さん”を指しています。)

私が関わっているご利用者さんに、
必ず同じパターンの返事を求める人がいます。

ご本人:「今日はつかれました」
支援者:「お疲れ様でした」

支援者の返事が違うと、不穏になってしまうので、
必ず「お疲れ様でした」というように統一しています。

「繰り返しを求める」結果、
同じ話を繰り返すことになるパターンです。

④ 脳機能の障害による影響

高次脳機能障害や認知機能の低下など、
脳の働きが影響している場合もあります。

この場合は、本人の努力だけで改善できるものではありません。

環境調整や、職員間で対応を共有することも大切になります。

背景によって、関わり方は変わる

ここで大切なのは、
「同じ話を繰り返す」という行動だけを見て対応を決めないことです。

たとえば、
「本人が納得するまでじっくり聞くこと」
という対応が、必ずしも正しいとは限らないからです。

時には、
「聞かれているから答える」のではなく、
「答えるから聞いてくる」という視点に立って考えることも、
大事かもしれません。

「どう止めるか」より、「なぜ繰り返すのか」

忙しい現場では、

「どうすれば同じ話をやめてもらえるだろう」
「早く切り上げられるか」

という視点になってしまうこともあります。

”止め時”を作るのが苦手なご利用者さんもいらっしゃるので、
状況によっては会話の区切りをつける工夫も必要でしょう。

しかし、
「なぜ、この方は同じ話を繰り返しているのだろう?」
と一度立ち止まって考えることで、見えてくるものがあります。

行動だけを見るのではなく、その背景に目を向けること。
そうすることで、「繰り返し」の意味が変わってくることがあります。

おわりに|絶対の正解はない

これは私が常に感じていることですが、

同じ話を繰り返すご利用者さんへの対応に、
「これが正解」という方法はありません。

だからこそ大切なのは、

行動の背景を考える視点を持つこと。

同じ行動に見えても、その理由は人それぞれです。
「またこの話か」と感じたときこそ、
その方なりの理由や思いに目を向けてみる。

そんな視点が、支援の幅を広げてくれるかもしれません。


併せて読みたい

【生活支援員のための”関わり方”】記事一覧👇️
【生活支援員のための”関わり方”】まとめページ
本音を話してもらえない…と悩む生活支援員さんへ
リフレーミングは使わない方がいい?生活支援員が知っておきたい判断のポイント
“私はこう思います”が支援を変える。押しつけない伝え方のコツ

【支援スキル・実践】カテゴリ一覧
  生活支援員のための日中活動アイデア
 生活支援員のための”車いす支援”
 生活支援員のための”支援に活かせる日用品”
 生活支援員のための”見通し支援”
 生活支援員のための掃除テクニック

【めざせ!福祉マスター】カテゴリ一覧

勤続15年、生活介護事業所で働く現役の生活支援員です。ケアマネージャー、介護福祉士、小学校の教員免許などを持っています。

ご利用者さんの悩みを言語化したり、わかりやすい言い換えに自身があり、ご利用者さんからは「説明がわかりやすい」「(個別支援計画の)言葉が丁寧」という評価を頂いています。

ABA(応用行動分析学)をベースにしたアプローチが得意で、「どのように環境を整えていくか」を入口に支援を組み立てています。ABAについては、こちらのサイトが非常にわかりやすいのでおすすめです👇️

👉️ABA|応用行動分析(Together)

コメント

タイトルとURLをコピーしました